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【カブール栗田慎一】「伊藤君の無念はいかばかりか」。非政府組織「ペシャワール会」メンバーの伊藤和也さん(31)の遺体に付き添い、アフガニスタンの首都カブールに到着した同会現地代表、中村哲医師(61)は、目を赤くはらしてそうつぶやいた。
中村さんは28日朝、パキスタンのペシャワルから拉致現場に近いジャララバードに入り、初めて伊藤さんの遺体と対面した。ひつぎに入れられた遺体の顔を、何かを語りかけるように見つめ、手を挙げて遺体に向かい敬礼した。
「左足に十数発は撃ち込まれたとみられる銃創、腹部に1~2発の貫通銃創、後頭部の挫滅、顔面の打撲痕が認められた。腹部の銃弾で動脈が切れ、死亡したのではないか」。医師として、悲しみをこらえ、伊藤さんの遺体を検分した結果を語った。
会の事業で大きな恩恵を受けてきた地元住民は、伊藤さん拉致の知らせに、一斉に拉致グループを追跡。その数は1000人に上った。だが中村さんは「これで拉致グループがパニックに陥り、殺害に及んだのかもしれない」と唇をかんだ。
反政府武装勢力のタリバン報道官を名乗る人物が、犯行を認めていることについて、中村さんは「拉致グループはタリバンではない。タリバンがこんなことをするはずがない」と話した。
「我々が言うタリバンとは、マドラサ(イスラム神学校)でちゃんと教育を受けた、礼儀と道理を身につけた者を言う。しかし、9・11(01年の米同時多発テロ)後、偽タリバンが増えた。彼らは本当のタリバンではない」
タリバンが拠点とするアフガンとパキスタン国境地域で、ハンセン病治療や井戸掘りなどを20年以上続けてきた。国際的な非難を浴び孤立するタリバンとその母体のパシュトゥン民族を支え、タリバン側からも一定の理解を得ていると自負してきた中村さんの、タリバンへの「最後のメッセージ」にも聞こえた。
毎日新聞 2008年8月28日 21時36分(最終更新 8月28日 21時43分)