遠隔地から通院するハイリスク妊婦と家族らの負担軽減に向け、県が行った妊婦等待機宿泊施設調査事業の結果がまとまった。県立中央病院(青森市)の総合周産期母子医療センターの利用者を対象に、同市内のマンションを公費で借り上げて提供する形態を取った。ニーズが確実にあることが確認できた一方で運営経費と利用者が希望する利用料に差があり、医療施設内の活用なども含め設置形態の検討が必要であることが分かった。

 妊婦等待機宿泊施設は、県が2007年11月から08年3月までの138日間、青森市内のマンション一室(家具家電付き、光熱水費込み)を借り上げ、同市外(県外を含む)のハイリスク妊婦・家族や、NICU(新生児集中治療管理室)で治療する新生児の家族を対象に運営。調査期間中に7家族21人が利用した。利用日数は2―14日間だった。調査結果は県医療薬務課がまとめた。
 施設自体に関する利用者の反応は「里帰り出産の妊婦にとって良い施設」「病院に近く、家族らに安心を与えることができた」とおおむね好評だった。しかし運営費面をみると、実際は日額約8千円を必要としたが、利用者は適正な自己負担額を日額千―2500円とし、マンション借り上げでは採算性に課題があることも分かった。
 県では採算性を考慮した宿泊待機施設の設置形態として、病院の空きスペース活用、複数医療施設での共同運用、産科医療にとどまらず、遠方から通う脳卒中やがん患者の家族への提供も検討する必要があるとしている。
 今回の宿泊待機施設は総合周産期母子医療センターから車で15分以上の距離にあったが、利用者からは徒歩の場合、車を利用する場合とも10分以内を望む声が目立った。