桃太郎王国ニュース


2008年08月28日

「じっくり楽しめる」という欠点(後篇)

 長く楽しめるほうが、いいゲームだ。
 どっぷりハマれるものほど、いいゲームだ。



 という考えで作られたゲームは、「時間がかかりすぎる」という、致命的な欠点を持っています。

 それは、かつては「コストパフォーマンスがいい」という長所だったのですが、大人のユーザーにとっては、それは明確なまでに明確な、短所なんですね。

 映画ならば、2時間くらい。
 スポーツ観戦は、2~4時間くらい。
 小説は、厚さによるけれど、1冊およそ1~5時間くらい。
 連続テレビドラマを半年分見ても、24~5時間くらい。

 さまざまな娯楽を、「どれだけの時間を要するか」という視点から見てみると、おおよそ上記のようになるでしょう。ゲームに比べると、時間がかからずに楽しめることがわかります。



 ところで、野安は、死ぬほど多忙な7~8月を過ごしていたので、9月に夏休みをとります。1週間くらい海外に脱出します。いざ社会に出て働いている人は、「1週間まとめて休み、旅行する」というのは、けっこう大変であることを、実感として知っているはず。仕事のスケジュール調整もしなくちゃならないしね。

 とはいえ、1週間ほど海外に行っても、往復の機内で過ごす時間を考えると、実質は5日間くらいしかリゾート気分は味わえない計算になる。夜は寝ているのだから、活動している時間は5日間×16時間=80時間くらいですね。

 なるほど。これほど必死にスケジュール調整をして休みを確保したのに、いざ計算してみると、これだけの時間しか空けられないわけです。大人ってのは、なんとも大変です。



 それでも、野安は子供がいないので、まだまだ自由に時間を使えるほうです。お子様がいる家庭では、もっともっと自由な時間がないでしょう。そんな生活をしている、ごく普通の方々は

 奥が深いゲームだから、じっくりと楽しめる。
 100時間たっぷり楽しめるほどの、やりこみ要素がある!

 というソフトは、そりゃ敬遠せざるを得ません。そんなに長期間にわたって時間をとられる娯楽は、物理的に遊ぶことができない。そういう方向に発展してしまったソフトは、今後、さらにセールス的に厳しくなっていくでしょう。ゲーム人口の中の大人が占める割合は、まだ上がっていきそうですし。



 豪華になった!
 すごい映像がある!
 オンラインで通信対戦できる!

 といった進化の方向性も、大人のユーザーをひき戻せるかどうか、という観点から見るならば、ほとんど効果がありません。グラフィックを豪華にしても、ムービーを綺麗にしても、あるいはオンライン化して対戦・協力プレイを充実させても、


 ユーザーの多くは、1人で据え置きゲーム機に向かう時間がとれないんだよ!


 という根本的な原因は解決されないからです。そういったゲームが充実しても、ゲーム人口は増えないんですね。(……とはいえ、そういった時間のない人もグイグイと引きつけて、ついプレイしてしまうような凄いソフトが出ることを、心のどこかで望んでいる自分がいるのも事実ですが)

 そういった進化をしたゲームは、すでに「時間が確保できているユーザー」をターゲットにした商品、という位置づけになっているんですね。

(さらに続きます)

この記事へのトラックバックURL

http://retro.mmoh.jp/t69564
この記事へのコメント
ゲーマーというかつて大きな市場を支えてきた人が、
ゲーマーの原則で動かなくなって来ています。

そこに気付かず
ゲーマー向けを作っていれば大丈夫と考えていれば
時代に取り残されてしまう。

特にゲームは製作から発売までの期間が長いですから
発売時の状況を視野に入れなければならないわけで。

現状を見ての分析をしているようでは遅いんですよね。
Posted by 影武者 at 2008年08月28日 23:58
ぼくは暇人だから、多忙な方々に対する想像力は欠如しているかもしれないですね。評論家気取りという指摘も、当たっているかも。個人的には20〜25時間くらいのボリュームが、お得感もあり、丁度良いという感覚ですけどね。ひとそれぞれでしょう。

ちなみに、RPGによくある収集系や育成系のミニゲームは一切やりません。それが何かの感動や記憶に残って、思い出になるとは感じにくい、それゆえ同様の理由で、昨今のいわゆるカジュアルゲームにも、ちょっとした「むなしさ」のようなものを感じますね。

家事や教育や美容を兼ねたソフトが出たように、仕事を兼ねたソフトが出ないかな、なんて思ってますけどね。それでも残念だけど、なかなか売れないでしょう。
Posted by メキシコ at 2008年08月29日 01:13
モンハンって最終的にはン百時間もプレーする事になるゲームなのに、
こんなご時世に250万本も売っちゃいましたよね。
もちろんモンハン自体が「時間のない人もグイグイと引きつけてしまう」魅力を持ったゲームだとか、
学生だけに売れてたりするのかも知れませんが、
よくよく構造を見て見ますと、

・クエストを選べば、ワンプレイは20分ぐらいで区切りよく終わる。
・一人でもできるし、友人が居る時でも一緒に楽しむ事が出来る
・体で覚えるゲームなので、ちょっと忙しくなって1月ぐらい遊んでなくても、問題無く再開出来る

等等、「時間はかかるけど、ウザくはならない」
つくりになっているように見えます。

モンハンに限らずとも、blogとかを見渡しますと、
「忙しい」とボヤく社会人ゲーマーの人の中には、
「手を出す本数は少ないけど、特定のゲームはアホみたいな時間遊んでる」
という人って結構居ますよね。
シレンばっかりとか、ポケモンばっかりとか、ロスプラばっかりとか、地球防衛軍ばっかりとか。

「時間が無くてゲームが出来ない」と言う人にとって本当に嫌な事って、
「トータルの時間がかかること」じゃなくて、
「連続的・継続的に時間が要求されること」なんじゃないかな?と思います。
Posted by i-say at 2008年08月29日 02:05
前置き長いなぁ・・・・・・・・・・。

「今時ヘビーな作品は売れない」という事は、もう良く分かった。
というかここを読んでいるような人達は、少なくとも2年前くらいには皆もう分かってたと思うよ。
そん時くらいには最早業界の常識となってたんだから。

その先を早く聞きたい。
「じゃあヘビーな作品は、どうしたら生き残ることが出来るのか?」ってとこ。
まさかあなただって、そういう作品が消えていっても良いと思っとる訳や無いっしょ?
ここの読者達だって、そんな事は誰一人として望んでないし。
「どうすれば売れるようになるのか?」もしくは「どうすれば売れなくてもやっていけるようになるのか?」
前置きはもう良いから、そこんとこを早く書いてくれ。うん。

ただの工房に過ぎない僕の貧弱な発想力では、
前者だと「ゲーム情報を総合的に取り扱う超ビッグでメジャーなサイトを作り、コアなゲーマーを増やす」
後者だと「ヘビーな作品の市場価格を全体的に引き上げて、定着させる」
くらいしか思いつかんのだが、自分で言っといてあれだがどちらもまず無理っぽい雰囲気。
なんでここは是非、ベテランゲームライターであるあなたの意見を聞いてみたい。お願いします。



P.S こんだけ引っ張っといて、しょーもない意見しか無かったら・・・・・・・・・・。うん。
Posted by ARABIN★ at 2008年08月29日 02:52
続きすぎでしょ。。。
まさかこれは大作の時間的長さとかけている・・・・・んなわけない。
Posted by ぬすっと at 2008年08月29日 03:07
 結局野安さんってのは一貫して任天堂を褒めたいだけなんですよね。
モンハンの例を出している人がいますが、結局はそういうことなのでしょう。
皆さんは従来型のRPGでいったい何時間遊ぶでしょうか。
何回クリアするでしょうか。
俺は基本的にRPGは一周しかやりませんし、やっても二周ですね。
やりこみ要素と言われる物には手をつけないことすらありますから基本的には10時間から20時間といったところです。
野安さんの言う100時間遊べるゲームだって実際に100時間やっている人なんてそうそういないのです。
それが具体的に何というゲームなのか知りませんがね。

 それはさておき、俺は短時間で遊べるアクションゲームのビューティフル塊魂を少なくとも30時間はやっています。
レースゲームのゴッサム4もそれ以上やっています。
そう考えたとき、野安氏の言う時間の取られるゲームっていったいなんなんだと首をかしげるしかないんですよ。
RPGよりもアクションやレースゲームの方がプレイ時間が長い、つまり時間のかかるゲームになるわけですからね。
で、導き出されたのが任天堂以外のメーカーが出している従来型のゲームなんだろうなと推測するわけです。

 まぁ、はっきり言わせていただければゲームを語るなら具体的にタイトルぐらい挙げたらどうですかということです。
立場的に無理?
だったらそんな曖昧な記事を書いても仕方がないですね。
任天堂を褒めたいばかりにたたき台にするゲームをぼかして作り上げ曖昧にする評論家。
車雑誌にもよくいますよね、「下手なスポーツカーより走れる車」みたいなことを書く人。
その下手なスポーツカーって具体的に何ですかと問いかけたくなります。

 野安さんの記事はいつも任天堂を褒めたいだけです。
Wiiが成功したのは幅広い年齢に受けたからだとかリモコン操作が新しいからだとおっしゃいます。
でも、ふと気付いてみたらWiiスポーツ以外何があったっけと思いませんか?
Wiiの成功は大量のCMと、あとはPS3やXbox360の価格が高いことによるこれしかない需要じゃないかと思うのですが。
Posted by A助様@お兄やん at 2008年08月29日 07:37
長く楽しめるゲームっていうのは別にクリアまでが長い、のではなくて
ユーザーが何回もやりたくなったり売らずにたまにちょくちょく
やりたくなるゲームのことをいうんですよ
Posted by PS3 at 2008年08月29日 07:58