本紙朝刊で獣医師柴内晶子さんによる連載「家族としての犬のしつけ」が始まった。二十六日の初回のテーマは「大切なコミュニケーション」。
外で飼っていた犬が屋内で人と寝食をともにし始めると生き生きしてきたという、子ども時代の体験が紹介されていた。相変わらずのペットブームで多くの犬が人と暮らす。本紙上でもかわいい写真にたびたび出合える。
犬は人間がオオカミからつくったという説が覆る可能性があるらしい。科学技術振興機構発刊の月刊誌「Science Window」九月号によれば、遺伝学的に調べると、犬とオオカミの枝分かれは人間との出合いのずっと前だそうだ。
起源が変わってくると、犬の特質が問題になる。人間の視線や指さしに反応するポインティング行動や困った時に人間を頼る特有の性質が、いつ身に付いたのか。
これらがあったから犬と人間は寄り添えたのか、それとも人間と暮らすうちに備わったのか。謎だという。犬と仲良く散歩している子どもの誰かが将来研究者となって解明してくれれば、などと想像する。
分からないことは身の回りにまだまだある。この夏休み、多くの子どもが体験を通じ「なぜ」「どうして」を感じたことだろう。疑問や興味を、大切にはぐくみ続けてくれたらと思う。