大地震:富士山級「海山」が震源 

茨城県沖の地下構造の想像図
茨城県沖の地下構造の想像図

 茨城県沖の海底下に富士山級の海山(かいざん)が沈み込み、マグニチュード(M)7級の大地震を繰り返し起こしていることを、東京大地震研究所などが突き止めた。太平洋側には海山がこのほかにも数多くあり、これらの場所が分かれば、大地震の震源域などが予測できる可能性があるという。29日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 プレート(岩板)上にある海山が、プレート運動で沈み込むと、海山がある場所で摩擦が強まり、大地震を引き起こすと考えられてきた。また、茨城県沖で約20年ごとに繰り返されるM7級の大地震は、海山との関係が指摘されてきたが明確ではなかった。

 研究チームが、この地震の震源域で音波による構造調査を実施したところ、深さ約10キロの地中に、高さ約3000メートル、直径約50キロの富士山級の山があることが分かった。約70万年前に日本海溝から沈み込んだ海山だと推定された。

 一方、82年7月に茨城県沖で起きた地震(M7)を解析した結果、この海山のへりにひずみがたまって震源となり、海山の前方に震源域が広がっていることが判明した。08年5月の茨城県沖での地震(M7)の前震でもへりが震源だった。

 海山が沈み込んで通過した後のすき間には、堆積(たいせき)層が作られるなど軟らかくなっており、震源域にならないと推定。従来考えられてきた海山そのものも震源域でなかった。

 東京大地震研究所の望月公広助教(海域地震学)は「今後、海域調査によって海山の位置などが特定できれば、大地震の震源域の範囲を予測できる可能性がある」と話している。【河内敏康】

毎日新聞 2008年8月29日 3時00分(最終更新 8月29日 3時00分)

文字サイズ変更
この記事を印刷
印刷

関連記事

8月29日大地震:富士山級「海山」が震源 写真付き記事

ニュースセレクト アーカイブ一覧

 

おすすめ情報