2008年04月25日

民主党・民社協会が政界再編の起爆剤となるか?民主党参議院からの離脱は本当か?

4月24日付け日本経済新聞は「民主から何人か独立」と題する以下の記事を掲載した。

「自民党の矢野哲郎参議院国会対策委員長は23日夜、宇都宮市でのパーティーで、民主党参議院数人が近く会派離脱し、新会派を結成するとの見通しを示した。「われわれと一緒にやっていいという人が何人か出てきた。近くそういう人たちが独立することになるだろうと述べた。」


自民党矢野哲郎(61歳)参議院議員は慶応大学法学部卒。三井物産勤務を経て、栃木県議3期。平成4年参議院初当選(栃木選挙区)、現在参議院3期目。第二次安倍内閣組閣の折、「お声がかからなかった」ことに憤慨し、当時の安倍総理に電話で直談判して15分間も粘ったというエピソードがある。伊吹文明幹事長の派閥に所属。

自民党参議院国会対策委員長である矢野哲郎が「ガセネタ」をつかまされ、それを信じて公衆の面前で喋るとも思えないから、日経の報道は「事実」なのであろう。そういえば、日銀副総裁候補渡辺博史の人事が民主党他野党の多数で否決された当日の夜、伊吹文明自民党幹事長が民主党の造反組と会食したと報じられた。

矢野哲郎は伊吹文明の子分であるから「なんぞ、面白い話」でも聞いているのかもしれぬ。矢野哲郎は「入閣の声がかからなかった」ということで、安倍総理(当時)にその理由を問いただし、15分間も糾問するほどの直情径行の持ち主である。「民主党に波乱の種をまいてかき乱してやろう」等の深慮遠謀ができる人物ではない。単純明快「竹を割ったような」性格であるから、伊吹文明親分から仕入れた情報を秘匿することができず、つい喋ってしまったということであろう。矢野のごとき口の軽い子分を抱えていると、伊吹親分も気苦労が多いというべきである。


渡辺博史日銀副総裁候補は参議院で否決された時、民主党の党議拘束に造反して政府案に賛成したのは、大江康弘、藤原正司、渡辺秀央の3人である。採決を欠席又は棄権したのは、大塚直史、風間直樹の2人である。本会議を欠席したのは木俣佳丈、桜井充の2人である。

以上のうち、「ボタンを間違えて押した」という大塚直史と風間直樹(以上、欠席・棄権組)並びに本会議を欠席した桜井充の3人は、ブログを見ても、民主党の党議拘束を破るほどのタマではない。大勢順応型とみなしてよい。ということで「確信犯」は、大江、藤原、渡辺及び木俣の4人であろう。不思議なことに4人とも「民社協会」のメンバーでもある。

(民社協会とは何か?)

民社協会の源流は1960年、日本社会党から分裂して結成された民主社会党(民社党)である。支援団体の主なものは、全日本労働総同盟(同盟)で、傘下労組は繊維産業労組(ゼンセン同盟)、金属産業労組(全金同盟)、自動車産業労組(自動車総連)、電力労組(電力総連)等、我が国を代表する民間大企業労組である。同盟は(1)反共主義、(2)労使協調主義などを掲げた。当時、日本社会党の支援団体であった日本労働組合総評議会(総評)が階級闘争を基本理念としたからこれに対立した。総評が社会主義日本の実現をめざしたのに対抗し、同盟は資本主義日本を守ることで労働者の権利拡大と待遇改善を図る労使協調路線をとった。なお、総評傘下の主要単産は、自治労、日教組、国鉄労組、鉄鋼労連など官公労中心である。

ちなみに、民主党参議院議員会長兼代表代行興石東は総評(日教組)の階級闘争至上主義を志向していた。他方、労使協調路線の同盟では、政調会長の直嶋正行参議院議員(自動車総連)、藤原正司参議院議員(電力総連)などがいる。いずれも民社協会に属している。


第1.民主党から独立する可能性がある大江、藤原、渡辺及び木俣参議院議員について、本人のブログを参考にして検討してみたい。

(1)大江康弘(60歳)

かって自民党の青嵐会で威勢があった玉置和郎秘書。平成13年7月、小沢・自由党から出馬(初当選・全国区)、平成19年7月の参議院選挙で2期目の当選(比例)。思想的には台湾重視の保守派。集団的自衛権容認派で元小沢一郎の側近だったが、感情の齟齬があったのか、渡辺秀央と共に反小沢の急先鋒となる。現在、二階俊博自民党総務会長(元小沢の子分)と親交を重ねている。

(2)渡辺秀央(73歳)

中曽根康弘秘書。自民党から衆議院6期、郵政大臣。衆議院落選後、1993年小沢・自由党から出馬(参議院初当選・全国区)、2004年参議院選挙で小沢一郎の支援を得られず「反小沢の急先鋒」に転じた。(以上、ウイキぺディアから抜粋)

以上、小沢一郎の元側近であった両名は、目下「反小沢の急先鋒」であり、いつ民主党を離脱しても不思議ではない。自民党幹部とも馴染みがある。

(3)藤原正司(62歳)

関西電力労組書記長、委員長を経て連合大阪府連副会長。平成13年参議院(全国区)初当選。平成19年参議院2期目。民主党大阪府連副代表

(4)木俣佳丈(43歳)

一橋大学商卒。経団連事務局勤務。米ジョージワシントン大学院修士。1998年参議院愛知選挙区から初当選。2004年参議院2期目。民主党愛知県副代表。日本人拉致問題「救う会」常任副代表。


藤原正司は日銀副総裁候補の3回目提示政府案に賛成投票した。自らの政治信条を優先して党議拘束を破った。
木俣佳丈は「電車に乗り遅れた」ので参議院本会議の採決に欠席したという。同人のブログを見ると、主義・信条において「民主党の党議拘束を破る」ほどの覚悟があるようには見えない。だから「電車に乗り遅れたため欠席した」というのは間違いあるまい。

ただ、大阪や名古屋は旧民社党の強力な地盤であった。現在でも、旧同盟系労組の強力な地盤であることに変わりはない。電力総連、自動車総連、ゼンセン同盟など民間大企業の城下町である。

参考までに例示すると、民社協会の重鎮である直嶋正行政調会長・参議院議員(トヨタ労連)、高木義明副代表・衆議院議員(三菱重工労組・長崎)、川端達夫衆議院議員(東レ労組・滋賀)などである。

我が国の戦後は、経団連を初めとする財界と労使協調路線の同盟(民社党)が二人三脚で、階級闘争至上主義の総評と対決した歴史であった。民間大企業では労使協調路線が定着したが、官公労が主体であった総評傘下の職場は、社会保険事務所に代表されるごとく「腐敗と堕落」が蔓延し、組織を機能不全に陥れた。階級闘争至上主義の総評が犯した組織的犯罪といってもよい。その代表的職場が、興石東民主党代表代行・参議院会長の出身単産日教組である。


第2.小沢一郎は、旧総評系(日教組・自治労ほか)への依存を強めることで、元側近や旧同盟・民社協会系議員を離反させたのか?

現在、小沢一郎代表を支えているのは中国共産党共青団閥と、中国共産党の強い影響下にある民主党左派(横路孝弘・興石東ほかの旧総評・日本社会党系)である。つまり、小沢民主党は「旧日本社会党」の階級闘争至上主義路線を選択したといっても過言ではない。小沢一郎の腰巾着が菅直人ということになろうか。ただし、菅直人は風見鶏であって、風向き次第で鳩山幹事長と組むこともある。

小沢一郎は駐日米大使シーファーを馬鹿にして晒しものにしたから、今さら「親米保守」には戻れない。小沢一郎は公然と「中国共産党の行く末を心配する」ほどだから、恥ずかしくて「保守を名乗る」ことはできまい。

「毒食わば皿まで」という言葉がある。小沢一郎は共産主義の毒に染まり、日教組等左翼に依存した。「時、すでに遅し」である。小沢一郎が「階級闘争至上主義者」である日教組の興石東らに籠絡されればされるほど、民主党内保守勢力は小沢一郎から離反するという構図だ。


第3.自民党より右の「民社協会」が、民主党分裂の引き金を引くか?

大江康弘と渡辺秀央の場合は「小沢元側近が小沢の気変わりに激怒して反小沢に転じた」とみなすことができる。これまで何度も見てきたおなじみの風景である。二階俊博、小池百合子など大勢いる。

筆者が注目するのは藤原正司である。藤原正司は旧同盟労組生え抜きである。つまり、民間大企業労組の「労使協調派」である。藤原正司(関西電力労組)はトヨタ労連の直嶋、三菱重工労組の高木、東レ労組の川端などと条件が同じである。藤原が党議拘束を破って政府案に賛成したということは、直嶋、高木、川端も同じ考えを持っていると見るべきである。目下、慎重な行動をとっているが、「中国べったり、日教組色」を強めている小沢一郎を苦々しく眺めているのではないか。何しろ、階級闘争至上主義と労使協調路線では歯車が合わない。敵対する関係だ。

党議拘束を破った3人がいずれも「民社協会」というのも偶然ではあるまい。小沢一郎が左傾化したこと、次回衆議院選挙で、民主党が第1党になれば「容共左派政権ができるのではないか?」と危機感を抱いたのではないか。

「反共」と「労使協調」は、民社協会の源流である同盟と民社党の党是である。この党是が危機に瀕する時行動を起こさない方がおかしい。その先陣を民社協会の3人が引き受けたのではないか。先発陣として、大江、渡辺、藤原らが出発する。その後、本隊が動くという段取りではなかろうか。民社協会は衆議院16人、参議院16人である。


民主党のタニマチは京セラの稲盛和夫会長である。最近、民主党三役を集めて「団結されたい」と訓示しているからオーナーの気分ではなかろうか。

御手洗経団連会長派は、保守本流の麻生・安倍・鳩山ほかを支援している。奥田前経団連会長派は小泉・前原・仙石・小池のタニマチになった。民社協会の応援団は経団連傘下の主要大企業並びに企業内組合である。

民社協会各位は「階級闘争至上主義者が民主党の主導権を掌握し、かつ政権を奪取するなどあってはならない」と考えているはずだ。民社協会各位だけでなく、経団連もそして宗主国である米国も同意見ではなかろうか。


第4.政界再編は準備段階から実行段階になったのか?

自民党と民主党国会議員の勉強会や交流会は一層盛んになっている。これは政界再編の準備行動である。民主党参議院から数名が離脱することは民主党分裂の始まりだ。これから、第2弾、第3弾の離脱があるのではないか。最悪の場合、民主党は三々五々「流れ解散」ということになる。

「壊し屋」小沢一郎は、いろいろな人間集団を束ねることが苦手なのであろう。又は「好き嫌いが激しい」のかもしれぬ。その上「好き嫌いの基準が変化する」から、側近の離脱者が絶えないのかもしれぬ。

次回衆議院選挙が長引けば長引くほど、民主党分裂の可能性が高まる。小沢はこれを理解しているから「早期の衆議院解散」を求めているのであろう。

(まとめ)

自民党は、任期満了の2009年9月の衆議院選挙を狙うべきだ。それまで待てば、民主党から離脱者が続出する。つまり、民主党は自壊する。

「待つ」ことは戦争の重要な要素である。衆議院選挙までに勝負は決まる。

白髪爺 at 23:08 │Comments(0)clip!民主党  | 自民党

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