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「90日超で減額」の猶予を了承―中医協

 「脳卒中などの高齢患者を追い出す仕組み」との批判を受け、厚生労働省は8月27日の中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、75歳以上の認知症患者らの診療報酬を10月から大幅に減額する措置を猶予する方針を示し、了承された。委員から「医療機関の機能分化と連携という流れに逆行する」との意見も出たが、与党の減額措置の凍結決定を受けた方針転換であるため、「中医協には限界がある」と理解を示す意見が多数を占めた。


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7月16日の中医協


 今年4月の診療報酬改定で、急性期の入院医療を提供する「一般病棟」に脳卒中や認知症患者が90日を超えて入院した場合、医療機関が受け取る診療報酬(後期高齢者特定入院基本料)が減額される範囲が拡大した。

 具体的には、「人工呼吸器を装着していない」「重度の意識障害がない」「喀痰吸引がない」など、脳卒中や認知症患者の中でも症状が比較的軽い患者の診療報酬を10月1日から減額するとした。同時に、「退院調整加算」を創設し、退院の促進を支援した。

 これについて、厚労省は「高齢者を追い出すわけではなく、医療機関同士の連携の促進」などと説明してきたが、診療報酬の引き下げで減収となる病院や、野党などから批判が噴出。与党のプロジェクトチームが10月からの減額を凍結する方針を8月5日に決定したため、厚労省は減額の猶予措置を決めた。

 厚労省は、医療機関が実施している患者ごとの退院(転院)支援策を社会保険事務局に報告すれば、「機械的に減額の対象とすることはしない」としている。
 具体的には、病名や日常的に行っている医療行為、退院する上での問題点や課題などを「退院支援状況報告書」に記載し、社会保険事務局に毎月提出する。

 厚労省は、来年3月末までに医療機関から提出される「退院支援状況報告書」の数を3000−4000件と予想しており、同報告書の記載内容などを併せ、「想定の範囲を超えた」と判断した場合には、来年4月に正式に見直すこともあるという。

 今回の措置について、委員からは「医療機関の機能分化と連携という流れに逆行する」「長期入院する流れをつくらないようにしてほしい」との意見が出た。一方、「後期高齢者医療制度」に対する批判を受けた政治的決着だったことに配慮して、「中医協には限界がある」「今回はやむを得ない」との意見も出された。



 長期入院している高齢者の診療報酬をめぐっては、「老人特定入院基本料」が1998年に導入され、急性期医療を担う「一般病棟」に90日を超えて入院した場合には減額されることになったが、難病患者や重度の障害者など「密度の高い医療が必要な患者」は、減額対象から除かれていた。
 しかし、今年4月に始まった後期高齢者医療制度で、「老人特定入院基本料」の名称を「後期高齢者特定入院基本料」に変更し、減額対象となる患者の範囲を拡大。療養病床を削減し、受け皿がないままに退院を促進する方針に対し、「高齢者の追い出しにつながる」との批判が相次いでいた。


更新:2008/08/27 23:01   キャリアブレイン


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