政府が決定する総合経済対策をめぐり、29日の取りまとめを前にして政府・自民党と公明党の対立は解消されていない。公明党は所得税の定額減税を盛り込むよう強く求めるが、自民党は大規模な財政出動を伴う減税策に難色を示す。定額減税を衆院解散・総選挙の目玉政策にしたい公明党は、国会対応や選挙協力に影響する可能性もちらつかせつつ、攻勢を強めている。【三沢耕平、仙石恭】
27日に国会内で開かれた与党政策責任者会議には、自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長のほか、与謝野馨経済財政担当相も出席。高速道路料金引き下げや、中小企業支援強化などでは大筋で合意した。
しかし、焦点である定額減税について自民党は「税の議論は年末の税制改革で結論を出すべきだ」と主張。これに対し公明党は「税制上の問題というより社会政策だ。年末では遅すぎる」と一歩も引かなかった。
町村信孝官房長官は同日の記者会見で「まず与党内でしっかり調整することをお願いしている」と語った上で、「減税と一口に言うが、経済対策か福祉対策か、税制改革の目的を明確にしなければならない。年度途中の税制改正は通常ありえない」と、慎重な考えを示した。
園田博之政調会長代理は会議終了後、記者団に「自公間に溝があると取られないように努力することを約束した」と語ったが、別の自民党幹部は「政策責任者レベルでは調整がつかない。幹事長や首相の仕事だ」といらだちを隠さなかった。
自民党はこの日、与党政策責任者会議に先立ち、税制調査会の非公式幹部会を国会内で開き、津島雄二税調会長や額賀福志郎前財務相らが定額減税について議論。「減税分が消費に回る保証はなく、景気浮揚につながるかは疑問だ」など、効果を疑問視する声が相次いだ。
自公間では、臨時国会の召集日や新テロ対策特別措置法の扱いなどでも意見が食い違っており、定額減税がさらなる火種となっている。公明党の山口政調会長は26日、総合経済対策について「重大な決意で臨んでいる」と記者団に語り、圧力をかける姿勢を示した。
毎日新聞 2008年8月28日 東京朝刊