大阪の市民グループ「見張り番」は橋下徹知事が府議会開会中に公用車でフィットネスクラブに行ったのは公私混同として、公用車運転手の超過勤務や休日出勤などの経費の返還を求める住民監査請求を府の監査委員事務局に提出した。
大阪府の橋下徹知事が府議会開会中に公用車でフィットネスクラブに行った問題で、市民グループ「見張り番」(世話人代表・松浦米子氏)は26日午後、公用車使用に際してかかった運転手の超過勤務や休日出勤などの経費の返還を知事に勧告するよう大阪府監査委員事務局に「住民監査請求書(知事公用車私的使用)」を提出した。橋下知事はこの件に関し、7月19日の府議会総務委員会で「警護対象にもなっており、外に一歩も出られない状況で中抜けという感覚はなかった」などと弁明、府民に判断を仰ぐとしていた。監査請求により、知事の公私混同ともいえる行動について詳細が明らかになりそうだ。
監査請求書を提出する「見張り番」メンバーら(大阪市中央区の府庁で)
知事は6月から7月にかけて計5回、職務以外の私的なフィットネスクラブ通いに公用車を使用したことが報じられた。今回の監査請求では、これが「大阪府庁自動車管理規程」に反しているとした。とりわけ7月14日の予算を審議する委員会開催時のジム通いは「府民の代表として府政を執行する責任者として、また、法律家としてのルール無視、議会軽視の行為であり、府民は看過できない」と指摘している。
報道によれば、計5回の中で、6月22日と29日には、自民党衆議院議員などの議員パーティーにも出席していたという。「見張り番」は情報公開請求で「運行日報」を入手し、7月5日の運行については以下のように指摘している。
<フィットネスクラブに午後4時30分頃に行ったと報道されているが、公用車運転手は午前7時に出勤、7時30分に府庁発で知事を迎えに行っていた。そしてジムから府庁へ行き、午後5時から午後8時40分まで運転手は休日にもかかわらず約3時間40分待機。その後、5人が乗車して午後8時40分府庁発→豊中市→西区→西淀川区→豊中市→翌6日午前2時50分府庁着、と運行し運転手の退庁は翌6日午前3時20分になっている>
橋下知事は7月19日の府議会総務委員会で、共産党の宮原威議員に「議会開会中のジム通いは不適切だ」と指摘された。知事は計5回のジム通いについて間違いないとした上で同14日の委員会開会中の行動について「問題視されているのでいい格好はしないが、府民の意見を伺いたい。知事はプライベートな時間がとれない。警護の対象にもなっていて、土日もない中であの時間帯しか空く時間がなかった」などと弁明していた。また、14日の知事予定が「庁内執務」となっていた点については「表示はそうなっていたが、午後は休みをもらうつもりだった。中抜けという感覚はない」と答弁していた。
委員会では知事が財政再建で私学助成の削減や人件費カットなど事務事業の見直しについて審議する重要な日だった。府民や職員に痛みを求めておきながら、その審議の行方には注目せず私的な理由でジム通いしたことは問題だ。また、ジム通いの合間に政治家のパーティーに出席していたことは公務でなく知事の政治活動ではないだろうか。とすれば公用車を使ったことは公私混同と受けとられても仕方がない。
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