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ロシア:南オセチア・アブハジア独立承認 「冷戦恐れぬ」大統領、グルジアと断交宣言

 ◇独立承認正当化

 【モスクワ杉尾直哉】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、英BBCなどのインタビューに相次いで応じ、グルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を同日承認したことについて、「住民の虐殺を防ぐために承認せざるを得なかった」と述べ、独立承認を正当化した。グルジアのサーカシビリ政権については「我々は今後一切関係を持たない」と断交を宣言、「我々は何も恐れていない。冷戦が起こる事態を含めてだ」と語り、西側諸国に対する強硬姿勢を示した。

 BBCのほか米CNN、露政府系衛星テレビ「ロシア・トゥデイ」のインタビューに応じた。8日のグルジアへの軍事介入以降、大統領が報道機関の取材に応じたのは初めて。世界的にロシアへの批判が高まっていることから、国際的なメディアを通して大統領自身の立場を弁明するのが狙いとみられる。

 これまで、ロシアは南オセチアなどの独立に慎重だったが、メドベージェフ大統領は、「サーカシビリ政権が(南オセチアに)侵攻し、ジェノサイド(大虐殺)を展開したため状況が変わった」と語った。また、「欧米諸国はコソボは特殊な例だと説明してきたが、南オセチアやアブハジアも同様だ。我々は欧米がコソボ独立を承認したのと同様に行動したまでだ」と述べた。

 大統領は、「我々は冷戦を望んでいない。米国を含め西側諸国とは建設的な関係を持ちたい」と述べる一方、「そのためには現実主義、互いに尊敬し合うことが必要だ」とくぎを刺した。

 米海軍の軍艦が人道物資を運ぶため、グルジア西部のポチ港への入港を計画していることについて、「彼らは人道物資と呼んでいるが、もちろん武器を運んでいる」と述べた。ただ、入港阻止はしないとの立場を示した。

 ポチには露軍部隊が「平和維持のためのパトロール」として進駐しており、米艦船が入港すれば、米露両軍が対峙(たいじ)する事態となる。

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 ■ことば

 ◇コソボ独立

 セルビアの自治州だったコソボが今年2月、セルビアの反対を押し切って独立を宣言した。欧州連合(EU)や米国は承認したが、ロシアは強硬に反対した。セルビア人はロシア人と同じスラブ系で、両国の関係は深い。コソボ住民はイスラム教徒のアルバニア人が多数で、キリスト教徒のセルビア人と対立が続いていた。欧米が今回、グルジアの領土の一体性を主張するのと同様に、ロシアはセルビアの領土保全を主張していた。

毎日新聞 2008年8月27日 東京夕刊

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