米軍の侵略と反米勢力の戦いが激しさを増す中で、ペシャワール会の伊藤和也さんが殺害された。
自らの生き様を全うされた伊藤さんに敬意を表するとともに、志半ばで逝かれた無念を思う。
殺害した犯人グループへの怒りとともに、25年も活動を行ってきたペシャワール会ですらこんな目にあう治安の悪化は、なぜ起きたのかを考えざるを得ない。
(在りし日の伊藤さん)
中村代表は、おそらく強盗の仕業だろうと言っている。そして、
現地の治安情勢について中村医師は、雪が解けた4月以降に悪化し、対日感情もこれまでになく悪くなったと感じていた
(2008.8.27 読売)
昨年の秋から、今年の雪解けまでに何があったか。
なぜ、急に対日感情が悪くなったのか。
思い出してみよう、昨年の秋の日本を。
2007年9月 安倍晋三首相 (対アフガン)テロ特措法を口実にして、突然の辞職
2007年11月 同法の失効により、インド洋の自衛隊が撤収
新テロ特措法を衆議院で強行可決
2008年1月 参議院が否決した同法を、衆議院が再可決
自衛隊が再びインド洋へ行き、米軍の「不朽の自由作戦」に参加
伊勢崎賢治さんの「美しい誤解」という言葉を覚えているだろうか。
イラクでもアフガンでも、日本がアメリカの見方をして戦争に荷担していると言うことがあまり知られていなかった。
むしろ、戦争をしない国として「美しい誤解」をしてもっらたおかげで、伊勢崎さんの武装解除の仕事も成し遂げられたし、NGOの活動もなんとか続けていける。
そういう、アフガンやイラクの一般の人々の「誤解」を吹き飛ばしてしまうことの危険を指摘されていた。
安倍の辞任が呼び込むテロの危機 伊勢崎氏講演より
伊勢崎さんは昨年の9月の時点で、今回の悲劇を予見していた。
狙われるのは、NGOの若者だと言うことまで。
調べてみて、あらためて感じたのは、アフガニスタンについての情報の少なさだ。
いくら検索しても、現地情勢をある程度把握できるようなサイトも報道もほとんどない。
今回の事件があって、はじめて「治安の悪化」が報じられたくらいだ。
これも、来年1月に期限が切れる新テロ特措法を延長するための、下準備なのだろう。
伊藤さんの望まぬ死によって、奇しくもアフガンの緊迫した情勢に注目が集まった。
彼の遺志を継ぐとペシャワール会は宣言した。
私たちは、何を感じ、何を継ぐべきか。
もし、彼の死が「英雄」物語にされ、戦争遂行の道具に使われてしまったら、死して後に犬死にを強いられることになる。
そんな、人間の冒涜は、絶対に許せない。
新テロ特措法を、なんとか延長させようとする自民党はもちろん、こんなヤツもだ。
アフガン支援、空自派遣も=民主・前原氏
犬に食われてしまえ!