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ネアンデルタール人はバカではなかった、英米の科学研究報告

  • 2008年08月27日 10:41 発信地:ロンドン/英国
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ドイツ・メットマン(Mettmann)のネアンデルタール博物館で、再現されたネアンデルタール人の隣に立つペール・シュタインブルック(Peer Steinbrueck)独財務相(2007年11月20日撮影)。(c)AFP/MICHAEL GOTTSCHALK

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【8月27日 AFP】ネアンデルタール人は一般に信じられているほど「バカ」ではなかったという研究結果が、科学誌「Human Evolution」に発表された。ネアンデルタール人(Neanderthal)が使用していた石器は、現生人類ホモサピエンスの初期の祖先が使っていたものと比べても劣っていなかったことが分かったのだ。

 ネアンデルタール人は、人類の祖先がよりすぐれた道具を生産するようになったため、絶滅に追いやられたというのが従来の定説だった。研究結果はこの説を覆すものであり、欧州のネアンデルタール人がホモサピエンスと1万年間共存したあと2万8000年前に絶滅した「真の理由」を探る研究を促すものだ。

 英エクセター大学(University of Exeter)、米サザンメソジスト大学(Southern Methodist University)、米テキサス州立大学(Texas State University)、米国のThink Computer Corporationの合同研究チームは、ホモサピエンスが使用していた道具の方がすぐれていたかを探るため、3年を費やしてフレーク(石片)とブレード(石刃)を再現した。フレークはネアンデルタール人とホモサピエンスが使用していた石器、ブレードはホモサピエンスがのちに開発して使用していた石器だ。

 生産個数、刃の鋭角、必要とされる材料、耐用度を比較したところ、統計上は2つの石器の効率に差は見られず、いくつかの点ではネアンデルタール人が好んで使っていたフレークの方が使い勝手が良いことが明らかになった。

 エクセター大学の考古学者、メティン・エレン(Metin Eren)氏は、「ネアンデルタール人を『バカ』とか『劣っている』と考えるのはやめて、『異なっている』と考えた方が適当だろう」と話す。

 ではなぜ、ホモサピエンスは、効率面では変わらない道具をわざわざ開発したのだろうか。エレン氏は、「氷河期の欧州への入植という困難な時期、新しい技術を共有することで、ホモサピエンスの間に共通のアイデンティティーが芽生え、社会的一体性を促進させたのではないか」と見ている。「その結果、社会的ネットワークが巨大化し、組織内での交易活動を確実にしたのかもしれない」 

 ネアンデルタール人が絶滅した理由としては、低温下にともないマンモスやバイソンが南下したため狩猟ができなくなったとする説や、氷河期後期に欧州の森がほとんど消滅してしまったためとする説などがある。(c)AFP

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