県立広島病院(広島市南区)は二十六日、がん患者や家族に悩みや闘病体験を語り合ってもらうために今春開設した「がんサロン」を報道陣に初めて公開した。三月と六月の試行を経て病院側の運営体制が整い、患者への理解も進んだため広くPRすることにした。
同病院で治療を受けた経験がある患者や家族ら三十九人が参加。抗がん剤治療の副作用や対処方法など、土井美帆子臨床腫瘍(しゅよう)科部長の説明をメモしていた。
意見交換会では、「治療費がかさむので薬の服用をやめたい」「抗がん剤治療中に意識が遠のき、このまま死んでしまいたいと思った」など苦しい胸の内を明かし合った。
膵臓(すいぞう)がんで入院している佐伯区の七十歳代女性は「苦しいのは自分だけじゃない。それが分かっただけで収穫」。肺がんを患う夫(73)と参加した廿日市市の女性(72)は「患者の皆さんに逆に元気づけられた。家族で病気と向き合う勇気もわいた」と話していた。
二〇〇六年八月、国の地域がん診療連携拠点病院指定を受けたのを機に、開設準備を進めていた。本年度中にあと三回開く。(門脇正樹)
【写真説明】県立広島病院のがんサロンで、抗がん剤の副作用などを学ぶ患者や家族
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