【シリーズ現場】石川を比べて診る 公立病院 県内7割 赤字経営2008年8月27日
穴水総合 患者増阻む医師不足小松市民 設備充実で負担増加金沢市立 地域連携で収支改善全国の傾向と同様に、県内の公立病院も経営が厳しい。十八病院のうち約七割にあたる十二病院が、二〇〇六年度の単年度で赤字。そんな中、金沢市立病院は経営改善計画の効果で〇七年度に黒字転換する見込みになった。国は〇八年度中に「公立病院改革プラン」の作成を求めることにしており、県内公立病院の経営状況を調べた。 (報道部・山本義久) 「総合病院は内科医が中心。医師を一人増員すれば外来患者が増え収益が上がる」。奥能登の中核となる公立穴水総合病院(穴水町)では、医師不足が「赤字経営」の原因の一つになっている。 病院は〇六年度に外部識者を交えた「再生委員会」をつくり、本年度の黒字化を目標に掲げた。人件費の削減などで赤字は〇六年度の約四億五千百万円から、〇七年度に約二億六千六百万円へと縮小。しかし、累積赤字は約十億円に上る。 さらに収支を改善するには、来院患者を増やして収入増を図ることが不可欠。患者数は入院で〇四年度の約四万八千人から〇六年度は約三万二千人、外来も約十六万二千人から約十二万九千人という減少傾向。歯止めをかけるには、診察する医師が必要という。 ◇ ◇ 七尾鹿島広域圏事務組合が運営する公立能登総合病院(七尾市)は、累積赤字が約六十八億円に及ぶ。 対策として三年前、病院内に経営企画室を設置。地域医療との連携で病床の利用率改善を目指した。〇六年度の収支は約六億三千万円の赤字。それを〇七年度に約一億六千六百万円まで圧縮した。しかし、黒字転換までの道のりは険しい。 小松市民病院は〇七年度、約三億六千万円の赤字の見込み。累積赤字は約四十億円に膨らむ。〇六年度から二カ年、病院の機能強化を図ったこともあり、赤字は膨らむ方向に向かった。病院側は「充実した医療のために設備の充実は必要。赤字解消は簡単にいかない」という。 ◇ ◇ 金沢市立病院は地域との連携強化で収支を改善。八年続いた赤字を〇七年度に約三千万円の黒字にし、累積赤字はわずかに減って十三億四千万円。〇七年度から一一年度までの経営改善基本計画が順調に滑り出した。 計画に基づき病院は、市内の開業医が診察できる開放病床を二十に倍増。外来を開業医に譲り、入院は病院へ向かわせた。その結果、外来収益は約二億二千万円減ったものの、入院収益は約二億八千七百万円増えた。 単年度収支が一九九九年度以来、黒字の県立中央病院。〇六年度も約六億七千六百万円の黒字だが、累積赤字は約八十一億千万円と大きい。 ◇ ◇ 総務省は自治体の本年度決算から、一般会計に病院などの特別会計も加えて赤字の割合を測る「連結実質赤字比率」を取り入れる。病院の赤字が自治体本体の会計に大きく影響する。 一方、公立病院に対しては本年度中に作成した改革プランを〇九年度から三年間で実行することが求められる。
|