県立病院 基本構想を来春策定
赤字問題が深刻化している県立病院経営について県内外の有識者が話し合う県医療審議会県立病院のあり方検討部会(会長・宮城信雄県医師会会長)が二十六日発足し、初会合が県庁内で開かれた。県内医療に果たす県立病院の役割や、県立病院の経営形態、本島南部の公立病院再編ネットワーク化―の三つの方向性をまとめ、来年二月までに「県立病院のあり方に関する基本構想」を策定する。
県立病院の経営状況報告では、極度の運転資金不足から本年度四月時点で、県からの一般会計繰入金や長期貸付金計八十七億円のほとんどを、前年度分の借金返済に充てる自転車操業の実態が明らかになった。
資金繰り悪化の要因の一つとして県医務国保課は、南部医療センターの新築や中部病院の改築など、数年おきの建築改良費に伴う減価償却費の増加を挙げた。
委員の一人で全国の公立病院経営に詳しい城西大学の伊関友伸准教授(行政学)は「センターの新築で毎年約十三億円の減価償却費が発生するが、それを医業収益だけで賄うのは困難。病院新築は県議会を含め県民全体で決定しており、そのツケを病院だけに負わせるのは疑問」と指摘。「一時借入金の問題を整理した上で、県民全体が当事者意識を持って改革する必要がある」と述べた。