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20/07/2008

医師に重過失があった場合でも刑事罰を科すべきでないとする一部の医師は、ウログラフィン注射液を患者の脊髄に注射する医師に刑事罰を科すことには賛同するのでしょうか。

 医療介護CBニュースの「医師の過失を処罰すべきか」という記事によれば、厚生労働省が「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」にて、事故調査委員会から捜査機関に通知すべきケースを「重大な過失」に限定し、軽過失を刑事手続きに移行させないことを明確にしたが、医療界や一部の法律関係者などの間では、医師の過失を処罰する考え方に反対する意見もあると報じられています。確かに、重大な過失のある行為で患者を死亡させた場合にも「正当な業務行為」とするのは、国民の理解を得にくいとしたあとに、では、「許された危険の法理」によって違法性は阻却されないか。医療行為は人の死に直結する危険性を持っているが、それは患者の生命を守ろうとする善意の行為であるから、「社会的に有用な行為」として正当化されないだろうかとの話が続いていますから、ここでは、医師に重過失がある場合にも医師が刑事罰を科されないようにすることが要求されていると読むのが通常です。

 そして、ひとりの医師として、そして父として、最愛の我がこどもたちのため、日本が、そして医療が荒廃していく記録を残しておこうと思う。とされる天夜叉日記の「医師の過失を処罰すべきか 狂った厚労省「死因究明の在り方に関する検討会」というエントリーでは、この記事を受けて、私は、現在のように医療の専門家でもない裁判官が医療訴訟の判断を下していることは、日本社会の未熟さだと思っています。と述べた上で、

>厚労省の「死因究明の在り方に関する検討会」では、「重過失の場合に刑事手続きに移行するのは当然だ」という考えで合意している。

極めて異常な医師数抑制政策や医療費抑制政策を改めることなく、『ミスをした医師に厳罰を与えれば、国民の恨みは解消され、医療はよくなるのだ』といった考え方をする日本の医療事故調査委員会構想。

海外からみていて、医療の現状を無視した「狂った考え」に基づいて暴走しているようにしかみえません。

と述べていますので、「医師に重過失がある場合であっても、刑事手続に移行すべきではない」と考えていると読み取るのが普通かと思います。

 このように、医師に重過失がある場合であっても医師に刑事罰を科すべきではないと考えている方々が、医療行為としての妥当性が問題になる程度に専門的な領域における検察の排除だけで満足するようには私には思えませんし、「かつてウログラフィン注射液を間接造影検査に使用したことがあったことから脊髄造影検査にも使用できると誤信して、脊髄造影検査を行うにあたり、ウログラフィン注射液を患者の脊髄に注射して死亡させたという事案」について医師に刑事罰を科すことには賛成してくださるようにも思えません。

 さらにいうと、天夜叉日記のブログ主は、「医療を守り、医療過誤の再発を防止するために、『医療過誤には、警察が介入するな!!』」とのエントリーにおいて、内科に入院していた高校1年の男性患者に対し、女性看護師が誤って静脈に抗てんかん薬を注射し、患者が死亡した事例について、業務上過失致死の疑いもあるとみて、警察が詳しい死因などを調べているとのニュースについて、

医学も医療もわかっていない警察がこういった事件に介入すべきではありません。
と主張されています。このエントリーを読む限り、「臀部(でんぶ)などに筋肉注射すべきだった抗てんかん薬「フェノバルビタール」300ミリグラムを、患者の左腕につながれていた管を通して静脈に注射」することを「医療行為としての妥当性が問題になる程度に専門的な領域」とこのブログ主自身とらえているようには読めないのですが、それでも警察がこういった事件に介入すべきではないと主張しています。このブログ主であれば、「脊髄造影検査を行うにあたり、ウログラフィン注射液を患者の脊髄に注射して死亡させたという事案」についても「医学も医療もわかっていない警察がこういった事件に介入すべきではありません」と言ったとしても何の不思議もありません。

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Voici les sites qui parlent de 医師に重過失があった場合でも刑事罰を科すべきでないとする一部の医師は、ウログラフィン注射液を患者の脊髄に注射する医師に刑事罰を科すことには賛同するのでしょうか。:

» トラバをせんとや書いてみる。 [numachinomajoの日記]
うっかり自分のブログが出来たのでこれは「とらっくばっく」なるものをしてみろとのお告げかも。(笑 「 広島市立安佐市民病院(安佐北区、日高徹病院長)は17日、内科に入院していた高校1年の男性患者(16)=山口県平生町=に対し、女性看護師(23)が誤って静脈... [Lire la suite]

Notifié le le 20/07/2008 à 07:40 AM

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