医療過誤について刑事責任を追及するのは先進国では日本だけなのか
確かに、医療系の方々がよく仰る「医療行為に対し刑事責任を追及するのは先進国の中では日本だけ」というお話については、根拠を探すのが大変です。医療上のミスに関して医師等の刑事責任を追及する国として、イェール大学のEdward Monico博士は、「The Criminal Prosecution of Medical Negligence」のなかで、日米両国のほかに、New Zealand, Saudi Arabia, and India
をあげています。私の感覚だと、米国とニュージーランドは先進国に入るのですが、こればかりは「先進国」の定義の問題かもしれません。
では、それ以外の国ではどうなっているのかという点は、ネットで無料で見られるデータではよくわかりません。医療過誤における刑事責任の追及を題材とした文献はいくつか見つかったのですが、弁護士会の図書館にあれば暇なときに読めばいいとして、わざわざAmazonで発注するのは面倒だなあという気がしています(例えば、「The Criminal Justice System and Health Care (Oxford Monographs on Criminal Law & Justice) 」って、Amazon.co.ukで購入しても、50英ポンドもするのです。)。
もっとも、医療行為について刑事責任を追及しない国では、医療過誤の結果が今後の医療の改善に繋がれば遺族はそれを黙って見守るだけで去っていくのかというとどうもそうでもなくて、例えば、北村和生「フランス行政判例における医療事故と無過失責任の展開」だと、フランスでは、公立病院に限定されるとはいえ、医療事故により受けた損害については過失の有無を問わず賠償されているようですし、無過失補償制度を用意している国々も少なくないようですし、そうでないとしても、過失があれば民事的な損害賠償請求が認められる制度になっているところが大多数のようです("Medical Malpractice"で検索すると、医療過誤訴訟専門の法律事務所がわっと上位に表示されますし。)。
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