北京五輪が終わって、また国民栄誉賞の話題が持ち上がり、連続2冠を達成した水泳の北島康介選手の名が報じられている アテネ五輪の後では、当時の小泉首相が金メダリスト全員の受賞を、とぶち上げ、いくら何でも多すぎる、とご破算になった。選考基準があいまいで、あの長嶋茂雄さんも横綱大鵬関も受賞していない 球界の受賞者は王貞治さんと衣笠祥雄(さちお)さん。連続試合出場世界記録を達成した衣笠さんに話を聞いたことがある。世界記録より「力いっぱい三振を続けたことが誇り」と、意外な言葉が返ってきた。歴代3位の三振記録も持つ人は、失敗の積み重ねこそ自分の「栄誉」と、選考理由に小さな異議を唱えていた 世界の盗塁王・福本豊選手は、受賞を断っている。「そんなものもらったら、立ち小便もできぬ」というのがユニークな辞退の弁。何かと論議や話題を呼ぶ賞である 賞をつくったのは福田首相の父で、支持率低下に悩む内閣の人気取り策だった、とも言われている。内閣支持率の上がらぬ今は、五輪選手受賞の好機だが、そんな下心だったら北島選手には失礼な話だろう。
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