【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、グルジアからの独立を宣言していた南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認する大統領令に署名した。大統領は他国に対しても両地域の独立承認を呼びかけた。グルジアをはじめ、同国の領土一体性を主張してきた欧米諸国の反発は必至で、グルジア情勢をめぐる欧米とロシアの対立は一層深刻になりそうだ。
大統領は国民向けのテレビ演説で、グルジア軍による南オセチア攻撃で平和的解決を求めるロシアの要請が拒否されたなどと指摘。両地域の住民の求めに応えて独立承認に踏み切ったと述べた。
南オセチアとアブハジアではソ連崩壊後の内戦を経て、分離独立派が支配権を確立。両地域はそれぞれ主権宣言をしたが、ロシアを含め国際社会は独立を認めず、「未承認国家」となっていた。
両地域は2月のセルビアからのコソボ独立を受け、独立承認の要求を強めた。ロシアの上下両院は25日、大統領に両地域の独立承認を求める決議を採択していた。
大統領令は、外務省に国交樹立交渉と友好協力相互援助条約の草案策定を指示。また国防省には同条約締結まで「平和維持」活動を続けるよう命じた。
【大木俊治】
毎日新聞 2008年8月26日 21時24分(最終更新 8月26日 22時55分)