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[米国]
グーグル、豪華な福利厚生の大半を廃止へ――同社を去る従業員が増加
厚遇を当然と考える従業員の“あつかましさ”に対する経営陣の結論
(2008年08月26日)
米国Googleは、記録的なスピードで検索業界をリードする巨大企業に成り上がったが、ここにきて、そのオーラの輝きが失われつつある。ライバルである米国Microsoftにとってはありがたいことかもしれないが、Googleのクラウド・コンピューティング・サービスを利用したいと考えているユーザーは注意が必要だ。
米国Googleの福利厚生サービス |
Googleは、今も成長を続ける検索市場で大きなシェアを維持しており、世界の頂点を極めたという印象すら受ける。しかし、同社の従業員に対する処遇の変化を見れば、同社からオーラが失われつつある理由がわかる。
これまでGoogleの従業員は、無料の食事や進んだ出産支援制度、敷地内のスポーツ・クラブ、洗車/オイル交換設備など、きわめて恵まれた待遇を受けていた。しかし、最近出た米国New York Times紙の記事によると、こうした制度の大半は廃止される見通しという。最近では、同社が運営するデイケア・サービスの料金が2倍に値上げされ、従業員の間で不満が高まっているにもかかわらず、経営トップは意に介していないという。New York Timesの記事には、厚遇を受けるのは当然と考えているような従業員とはつきあいきれないという趣旨の共同設立者セルゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏の発言が掲載されている。
この記事を書いたジョー・ノセラ(Joe Nocera)氏は、「Googleも、他の企業と同様、デイケアは福利厚生の一環ではなく、贅沢と考えるようになったようだ。同社も、急速に普通の企業へと変貌しつつあるのだろう」と結論づけている。
このため、Googleを去る従業員は増えている。MicrosoftでWindows Home Serverの開発マネジャーを務め、その後Googleに移ったセルゲイ・ソルヤニク(Sergey Solyanik)氏も、先ごろMicrosoftに戻った。
Googleの株価も下がり続けている。2007年11月の時点で740ドルだった同社の株は、その後約34%値下がりし、先週初めの時点でおよそ490ドルとなっている。この時期、NASDAQ市場の平均株価は16%、ダウジョーンズの平均株価は17%値下がりしているが、それを上回る下げ幅だ。これまで市場を牽引する役割を担ってきた同社の株が、今や市場の動きに引きずられるようになっている。
Googleのオーラが失われたからと言って、同社の検索サービスに今すぐ影響が出るということはない。しかし同社が展開している「Google Apps」や「Gmail」「Google Docs」などのホステッド・サービスにはすでに影響が出始めている。
ソルヤニク氏は、Googleを去る際、GmailやGoogle Docsで頻繁に障害が発生することを明らかにした。同氏によると、全サービスの10%で毎週のように障害が発生しており、10%のサービスで毎週新たなバグが発見されているという(関連記事)。
また、Googleのエンジニアがサービスの「クールさ」にばかり目を奪われ、その有効性にはあまり関心を払っていないという点も問題だ。したがって、Googleのホステッド・サービスの導入を検討する際には、ブランド名に惑わされることなく、サービスの中身を十分に吟味し、他のベンダーと同様に厳しく評価する必要があるだろう。
(Preston Gralla/Computerworld米国版)
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