「療養病床削減」で地域医療は崩壊
厚生労働省が進めている「療養病床削減」計画に対し、山口県内の急性期病院の9割以上が“反対”と答えていることが、同県保険医協会の調べで明らかになった。同協会では、「急性期病院の受け皿として地域で重要な役割を果たしている療養病床を排除すれば、地域医療が成り立たなくなる」と、同計画に反対している。
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病院は、「医療法」の病床区分によって、救急などを担う「急性期病院」、長期の療養患者を受け入れる「療養型病院」などに分けられている。
療養病床については、医療保険が適用される「医療型療養病床」と、介護保険が適用される「介護型療養病床」があり、厚労省は2012年3月末までに介護型を全廃し、医療型も大幅に削減する計画を進めている。
現在、厚労省の計画に基づき、各都道府県が具体的な療養病床の削減数などを検討している。山口県では、医療型と介護型を合わせ9565床の療養病床を4153床に減らす方針を示しており、この影響について、同協会の病院・有床診療所対策部が、県内の急性期病院を対象にアンケートを実施。39病院のうち12病院が回答を寄せた。
療養病床は、急性期病院からの患者の受け皿となっているが、アンケートでは、救急医療体制の確保について、「少なくとも現状の療養病床を維持すべき」が41.7%、「むしろ増やすべき」が50.0%と、全体の91.7%が療養病床の削減に反対の意向を示していることが分かった。
また、現在の療養病床が、急性期医療からの受け入れ先として充足しているかについては、「不足しており、苦労している」が41.7%、「充足はしていないが、何とか受け入れてもらっている」が58.3%で、回答した急性期病院のすべてが療養病床は充足していないと考えていることが明らかになった。
さらに、厚労省は療養病床の削減に伴い、受け入れ先として「介護療養型老人保健施設(新型老健)」に転換する方針を示しているが、受け入れ先として妥当かどうかについて、「不適」が75.0%を占めたほか、「患者の急変時の対応の可否による」が16.7%だった。
同協会では、「地域の入院医療は、急性期から回復期の病床、療養病床へという地域の病床連携の中で完結する。厚労省の計画は、単に療養型病院の問題だけでなく、入院患者やその家族を含めた地域医療に重大な悪影響を及ぼす」などと批判している。
更新:2008/08/26 15:26 キャリアブレイン
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