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第5回 経済観察報社 翁仕友氏 | |
オリンピックがもたらす経済効果とその収支決算の裏事情 |
オリンピックの経済勘定
「北京オリンピックは儲かるか損するか」それを語るのはまだ早い。しかし、北京オリンピック組織委員会は、国際オリンピック委員会に第3回目の予算を提出した。実際の見通しは、第2回目の20億米ドルから、更に25%高額になり、未だに北京オリンピック委員会からは回答を得られていない。第3回目の予算を提出したことは、専門家によるとセキュリティの増強とテレビの中継技術のレベルアップという見地から予算を増額した。オリンピックの支出は、更に増加傾向にある。北京オリンピック経済研究会が出したオリンピックが北京経済に与える予測数字によると、2001年の予測幅は北京市のGDPが2%上昇、0.8%下落で、中国経済に対する影響は極めて少ないと予測した。
増加し続ける予算
2007年10月、北京オリンピック組織委員会の副主席である劉敬民氏が外部に漏らした北京オリンピックの第2回の予算は16.25億ドル増加し、予算は20億ドルに達する見込みとなった。1年も経たずにこの数字データを修正することになった。専門家は第3回目の予算は第2回目に少し増額させ、予算を24~25億米ドルの間になると予測する。増加分の予算は主にセキュリティとハイビジョンテレビの放映技術及び登録者の交通、宿泊、食事の費用などである。北京オリンピックの経済研究会会長であり、北京オリンピック委員会高級顧問である魏紀中氏は、予算編成の当初は一般的に保守的であると考える。これまでのオリンピックを見ても最終予算は全て増額となっている。これは法則ともいえる。
魏紀中氏は、中国オリンピック委員会の秘書長、副主席を担当し、彼自身が北京オリンピックの第1回予算の制定に参与した。彼が言うには、911事件以後、国際オリンピック委員会はセキュリティに対する要求の比率が高くなった。北京オリンピックのセキュリティは、疾病防御、食品衛生、データの安全等、セキュリティの対象は、オリンピックに参加する人から普通の市民にまで拡大した。セキュリティ費用の一部は、個々に費用が分かれる。一部は、北京オリンピック組織委員会の責任である。例えば、競技場の安全検査機材等である。もう一方の政府負担によるものは、予算帳簿の中には組み込まれない。消息筋によると、北京オリンピック委員会が請負い、支出しなければならないものは、スポーツ競技に関わる支出、例えば計測システムやスポーツ器材、審判員や技術者の交通費、競技登録者(スポーツ選手、記者、ボランティアを含む)に提供する交通費、飲食費、セキュリティ費用である。また、宣伝活動、文化活動、例えば開幕式、閉会式、国際オリンピック協会の規定する活動もそうである。第1回オリンピック活動には、青少年キャンプ活動その他臨時施設、オリンピック組織委員会の人数分の費用等が含まれる。
しかしながら、プライスウォーターハウスクーパースコンサルティング(以下PCCW)のパートナー社員である、巫宏斌の印象では、計測システム、試合の通信システム等の技術面での支出が、各支出の主体である。2008年北京オリンピックのファイナンスサービスのスポンサーである、PCCWは、北京オリンピック組織委員会、中国オリンピック委員会及び各体育代表団が提供する予算とファイナンス、内部統制、税務及びリスク管理に関するコンサルティングを行う。交通、セキュリティ、医療、衛生等の各一部分の予算について、PCCWは関与している。「皆様、お金の多少ではなく、事実がどうかと考えて下さい。」巫宏斌は、北京オリンピック協会はアテネオリンピック協会よりも費用がかかっているという結論を出すにはまだ早すぎる。アテネオリンピックは、4年前に挙行され、インフレや為替レートの変化等により自然にコスト高になる。同時にオリンピックに参加する選手は、過去最多であり、参加する各国の代表団の人数も過去最多であり、登録されている記者の数も最多となっている。その他にオリンピック観戦に来る各国の国家主席も最多であるから一概には比較できない。
魏紀中氏は、中国オリンピック委員会の秘書長、副主席を担当し、彼自身が北京オリンピックの第1回予算の制定に参与した。彼が言うには、911事件以後、国際オリンピック委員会はセキュリティに対する要求の比率が高くなった。北京オリンピックのセキュリティは、疾病防御、食品衛生、データの安全等、セキュリティの対象は、オリンピックに参加する人から普通の市民にまで拡大した。セキュリティ費用の一部は、個々に費用が分かれる。一部は、北京オリンピック組織委員会の責任である。例えば、競技場の安全検査機材等である。もう一方の政府負担によるものは、予算帳簿の中には組み込まれない。消息筋によると、北京オリンピック委員会が請負い、支出しなければならないものは、スポーツ競技に関わる支出、例えば計測システムやスポーツ器材、審判員や技術者の交通費、競技登録者(スポーツ選手、記者、ボランティアを含む)に提供する交通費、飲食費、セキュリティ費用である。また、宣伝活動、文化活動、例えば開幕式、閉会式、国際オリンピック協会の規定する活動もそうである。第1回オリンピック活動には、青少年キャンプ活動その他臨時施設、オリンピック組織委員会の人数分の費用等が含まれる。
しかしながら、プライスウォーターハウスクーパースコンサルティング(以下PCCW)のパートナー社員である、巫宏斌の印象では、計測システム、試合の通信システム等の技術面での支出が、各支出の主体である。2008年北京オリンピックのファイナンスサービスのスポンサーである、PCCWは、北京オリンピック組織委員会、中国オリンピック委員会及び各体育代表団が提供する予算とファイナンス、内部統制、税務及びリスク管理に関するコンサルティングを行う。交通、セキュリティ、医療、衛生等の各一部分の予算について、PCCWは関与している。「皆様、お金の多少ではなく、事実がどうかと考えて下さい。」巫宏斌は、北京オリンピック協会はアテネオリンピック協会よりも費用がかかっているという結論を出すにはまだ早すぎる。アテネオリンピックは、4年前に挙行され、インフレや為替レートの変化等により自然にコスト高になる。同時にオリンピックに参加する選手は、過去最多であり、参加する各国の代表団の人数も過去最多であり、登録されている記者の数も最多となっている。その他にオリンピック観戦に来る各国の国家主席も最多であるから一概には比較できない。
はっきりしない帳簿
支出が大幅に増加することは事実であり、多くの来訪者を平均で計算すれば、今回のオリンピックは赤字である。数年前、北京市は今回のオリンピックの予算を収入と睨み合わせて支出し、収支バランスをとって残金が残るように予算の分配をすると決めた。事情をよく知っている人は、マーケティング収入が高く、今期のオリンピックは儲かるオリンピックと予想した。消息筋によると、中央財政は直接補助しようとして、マーケティングを楽観視し、放棄していた。北京オリンピックの収入は、国際オリンピック委員会からの資金の割り当てが重要な資源だと理解している。オリンピックのテレビ放映権のトップ計画(コカコーラ、ゼネラルエレクトリック、ジョンソンアンドジョンソン、コダック、レノボ、マクドナルド等12社のグローバルパートナー)は、国際オリンピック委員会のマーケティング部門のコントロールにより、聞くところによるとこの部分の収入は一定とされる。開催されるオリンピック都市のオリンピック委員会に11億米ドル相当の金額が計上される。
もう一つ重要な北京オリンピック委員会の収入は、マーケティング開発、特許経営、チケット収入で、合計収入は11億米ドルを超える。北京オリンピックのスポンサー計画は、3種類のスポンサー方式を採用した。即ちパートナー企業、スポンサー企業、商品を供給する企業である。北京オリンピックのパートナー企業は、中国銀行、チャイナネットコム(中国網)、シノペック(中国石化)、チャイナペトリウム(中国石油)、チャイナモバイル(中国移動)、大衆自動車(大衆汽車)、アディダス、ジョンソンエンドジョンソン、エアーチャイナ(中国国際航空)、中国人民財産保険(人保財険)、中国国家電網(国家電網)など11社である。スポンサー企業は、UPS、ハイアール(海爾)、バドワーザー、ソフー(捜狐)、伊利乳業(伊利)、青島ビール、燕京ビール、統一インスタントラーメン等10社。これ以外に、32社のサプライヤーが存在する。内情に詳しい人によると、北京オリンピックのスポンサーになりたければ200万、500万、1000万米ドルの金額を支払う必要がある。パートナー企業の中国銀行は10億元近く出資した。「全体で少なくても23億米ドル計上し、もしかすると25億米ドルに達したのではないか。」とある専門家は指摘する。
これらの直接収入は、不明確であるが、多くのプロジェクトは往々にして難しく、予算内の収支すら曖昧である。オリンピック村の例を挙げてみると、オリンピック村の建設は、都市建設なのかそれともオリンピック協会の建設なのか。この建設費用はオリンピック組織委員会の予算内であり、不動産開発業者の完成によりオリンピック組織委員会の予算勘定内に人件費、オリンピック村内の交通費、飲食費として支払われる。北京オリンピックの収支決算は2009年に開始する。明確なオリンピックの挙行費用、オリンピックの損益を評価する。
もう一つ重要な北京オリンピック委員会の収入は、マーケティング開発、特許経営、チケット収入で、合計収入は11億米ドルを超える。北京オリンピックのスポンサー計画は、3種類のスポンサー方式を採用した。即ちパートナー企業、スポンサー企業、商品を供給する企業である。北京オリンピックのパートナー企業は、中国銀行、チャイナネットコム(中国網)、シノペック(中国石化)、チャイナペトリウム(中国石油)、チャイナモバイル(中国移動)、大衆自動車(大衆汽車)、アディダス、ジョンソンエンドジョンソン、エアーチャイナ(中国国際航空)、中国人民財産保険(人保財険)、中国国家電網(国家電網)など11社である。スポンサー企業は、UPS、ハイアール(海爾)、バドワーザー、ソフー(捜狐)、伊利乳業(伊利)、青島ビール、燕京ビール、統一インスタントラーメン等10社。これ以外に、32社のサプライヤーが存在する。内情に詳しい人によると、北京オリンピックのスポンサーになりたければ200万、500万、1000万米ドルの金額を支払う必要がある。パートナー企業の中国銀行は10億元近く出資した。「全体で少なくても23億米ドル計上し、もしかすると25億米ドルに達したのではないか。」とある専門家は指摘する。
これらの直接収入は、不明確であるが、多くのプロジェクトは往々にして難しく、予算内の収支すら曖昧である。オリンピック村の例を挙げてみると、オリンピック村の建設は、都市建設なのかそれともオリンピック協会の建設なのか。この建設費用はオリンピック組織委員会の予算内であり、不動産開発業者の完成によりオリンピック組織委員会の予算勘定内に人件費、オリンピック村内の交通費、飲食費として支払われる。北京オリンピックの収支決算は2009年に開始する。明確なオリンピックの挙行費用、オリンピックの損益を評価する。
オリンピックの遺産
オリンピック挙行費用に比例して、北京市政府が投入した“大帳簿”。オリンピック準備委員会の7年間、北京市は通称“鳥の巣”や、北京首都空港の第3ターミナルの建設、地下交通を発達させ、都市環境を改善した。北京市政府がオリンピック予算に投入した金額は、3000億元近くに達し、その中でも都市インフラ投資は、半分前後を占める。
北京オリンピック経済研究会の執行会長である陳剣氏は、「オリンピック利益を先に受けるのは誰か。オリンピック組織委員会はもちろんオリンピック自身はなんの利益もない。しかし都市の市民は実益を受けることになる。」と考える。陳氏の見解は、北京市の景観と人々の収入レベルは、大いに上昇したと考える。北京市は都市インフラ基盤と建設を5年間推し進めた。GDPの平均は2001年の3000米ドルから7400米ドルに上昇した。オリンピックニュータウンは、オリンピックが北京市に残した1つの遺産である。オリンピックセンターの中心的な核となった地域は、旅行、スポーツ、休暇、経済を発展させ、文化創意などの産業、都市構造を改変させることができる。
データ上で判断すると、オリンピックの北京経済に与える影響は限られている。陳氏は北京オリンピック経済研究会は、北京市政府の委託を受けて、オリンピック経済研究を進行し、2001年の研究ではオリンピックの素因が北京経済のスピードを年200%増速させたが、陳氏は数年後この影響は0.8%にも満たないことを発見した。北京市が全国のGDPに占める割合は4%に満たない。オリンピックが中国経済に与える影響はわずかである。悲観者は、今週開幕する北京オリンピックが中国経済にオリンピックの後に来る谷底をもたらすことを心配している。北京はカナダのモントリオールのように負債が30年も続くことや、ギリシャのように住民一人当たりが、少なくても10年の負債を負うことを心配している。今現在は、このような心配は全く無用である。ある長期に渡りオリンピックを研究している専門家は他国とオリンピッビジネスが違い、中国は国を挙げてオリンピックを挙行し、今回のオリンピックは利益や損失がいくらかが重要ではなくて、中国が世界の舞台に外観を展示することが最大の利益であると考えている。
最後にオリンピック経済について、各方面からの観点を紹介する。
モルガンスタンレー
オリンピックは北京の経済成長に必ず影響を与えている。ある程度は中国経済全体にも影響を与えている。しかしこの影響は、多くの人が予測しているよりも少ないかもしれない。オリンピックはただ中国に錦を飾るだけではなく、オリンピックは中国経済の重要な転換点であることを誇張したい。オリンピックの開催は、中国経済を近年明らかに成長させた結果となったが原因でないと考える。
ゴールドマンサックス証券
人々はオリンピックがもたらした経済活動に一喜一憂した。これは必然的なことではない。中国のような大国では、とりわけそうである。反面、開催国となる経済政策は経済波動の鍵を握る。もし中国のマクロ経済が2008年以降安定を保持できるなら、オリンピック終了後、中国経済は9~10%の成長率を保持できるだろう。
広発証券
各国の株価指数がオリンピック開幕式の翌日に一定程度以上の上昇が見込まれるなら、中国投資が政府によりオリンピック開催期間中に、“安定政策を維持”を発表することを予測する。私たちはオリンピック開幕式の前後にA株は短期的に上昇し、中長期的に言えばA株は政府のマクロ経済政策執行と上場会社の利益状況によって決まると推測する。
北京オリンピック経済研究会の執行会長である陳剣氏は、「オリンピック利益を先に受けるのは誰か。オリンピック組織委員会はもちろんオリンピック自身はなんの利益もない。しかし都市の市民は実益を受けることになる。」と考える。陳氏の見解は、北京市の景観と人々の収入レベルは、大いに上昇したと考える。北京市は都市インフラ基盤と建設を5年間推し進めた。GDPの平均は2001年の3000米ドルから7400米ドルに上昇した。オリンピックニュータウンは、オリンピックが北京市に残した1つの遺産である。オリンピックセンターの中心的な核となった地域は、旅行、スポーツ、休暇、経済を発展させ、文化創意などの産業、都市構造を改変させることができる。
データ上で判断すると、オリンピックの北京経済に与える影響は限られている。陳氏は北京オリンピック経済研究会は、北京市政府の委託を受けて、オリンピック経済研究を進行し、2001年の研究ではオリンピックの素因が北京経済のスピードを年200%増速させたが、陳氏は数年後この影響は0.8%にも満たないことを発見した。北京市が全国のGDPに占める割合は4%に満たない。オリンピックが中国経済に与える影響はわずかである。悲観者は、今週開幕する北京オリンピックが中国経済にオリンピックの後に来る谷底をもたらすことを心配している。北京はカナダのモントリオールのように負債が30年も続くことや、ギリシャのように住民一人当たりが、少なくても10年の負債を負うことを心配している。今現在は、このような心配は全く無用である。ある長期に渡りオリンピックを研究している専門家は他国とオリンピッビジネスが違い、中国は国を挙げてオリンピックを挙行し、今回のオリンピックは利益や損失がいくらかが重要ではなくて、中国が世界の舞台に外観を展示することが最大の利益であると考えている。
最後にオリンピック経済について、各方面からの観点を紹介する。
モルガンスタンレー
オリンピックは北京の経済成長に必ず影響を与えている。ある程度は中国経済全体にも影響を与えている。しかしこの影響は、多くの人が予測しているよりも少ないかもしれない。オリンピックはただ中国に錦を飾るだけではなく、オリンピックは中国経済の重要な転換点であることを誇張したい。オリンピックの開催は、中国経済を近年明らかに成長させた結果となったが原因でないと考える。
ゴールドマンサックス証券
人々はオリンピックがもたらした経済活動に一喜一憂した。これは必然的なことではない。中国のような大国では、とりわけそうである。反面、開催国となる経済政策は経済波動の鍵を握る。もし中国のマクロ経済が2008年以降安定を保持できるなら、オリンピック終了後、中国経済は9~10%の成長率を保持できるだろう。
広発証券
各国の株価指数がオリンピック開幕式の翌日に一定程度以上の上昇が見込まれるなら、中国投資が政府によりオリンピック開催期間中に、“安定政策を維持”を発表することを予測する。私たちはオリンピック開幕式の前後にA株は短期的に上昇し、中長期的に言えばA株は政府のマクロ経済政策執行と上場会社の利益状況によって決まると推測する。
※本コラムは経済観察報(The Economic Observer)より記事提供を受け翻訳したものです。
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