70年万博がそうであったように、経済界の夢物語から日本に大きな影響を与える事業が現実化する事例がある。先般、関西広域機構が09年の発足で基本合意した関西広域連合もまさに財界人の夢物語から始まった。これまで関西経済連合会は地方分権、広域行政に関する意見をたびたび提言しており、長年道州制の研究を進めてきた。その成果がやっと実を結んだ。
これが今後どう展開するのか予断はできない。だが、首都圏に次ぐ経済力、歴史と個性の強い関西の各地域がEUの発足当初のように緩やかに連携し、広域の災害、観光対策やドクターヘリの効率的配置など、できるところからはじめようとする動きは現実的、具体的で将来に希望が持てそうだ。
地域の論理はしばしば中央の論理と対立し、無視されてきた。その地域の利益を優先するので、中央には容易に受け入れられず、なかなか政府予算をつけてもらえない。その代表が大阪であった。それが地方分権、道州制への移行時代を迎え、潮流に乗った。それだけに、基本合意だけで終わるとは思えない。
ただ、気がかりな点が三つある。地域社会は相互の利害や依存関係が複雑に入り組んでいる。関西は歴史と伝統がある地域の集合だけになかなか意見の一致をみづらい。まず、粘り強い努力を覚悟する必要がある。第2はそれだけに中心勢力が必要だ。そのためには、この際、大阪府と大阪市の合併を実現してもらいたい。第3に州政府をつくる際は、中央政府の欠点を持ち込まず、関西人のための役所にしてもらいたい。
それにしても、関西から日本の仕組みを変えていくであろう、久しぶりに夢の広がる話である。(共生)