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【主張】東シナ海ガス田 首相の対中姿勢憂慮する

2008.8.26 03:37
このニュースのトピックス主張

 日中間の懸案である東シナ海のガス油田開発問題が6月の両政府間の合意以来、2カ月以上たつのに詰めの交渉に入れずにいる。

 中国側が腰を上げようとしないのに加え、福田康夫首相が7月の日中首脳会談で「(北京五輪で)大変だろうし、その話は無理せずにやっていただいていいから」と先送りを認めたためである。

 この問題は、日本が自国の排他的経済水域(EEZ)内の海底資源を守るという主権や主権的権利そのものである。日本の国益を実現するという基本原則を貫く姿勢がなければ、こうした権益を守ることはできない。首相の中国への配慮は度を越していないか。

 日中両政府は5月の共同声明で「共に努力して、東シナ海を平和・協力・友好の海とする」とうたった。それだけにガス油田の互恵関係を明確にする責務がある。

 6月の合意は二つのガス油田を対象にしている。当時からあいまいな合意が指摘されていた。

 一つは、日本が主張するEEZの境界線「日中中間線」をまたぐ、「翌檜(あすなろ)」(中国名・龍井)付近の海域を共同開発するものだ。もう一つは、中間線から日本側に延びる資源が吸い取られかねないと問題になった「白樺」(同・春暁)に対し、日本側が出資し、相応の利益を得るものだ。

 後者の政府間了解は「中国企業は、日本法人が、中国の海洋石油資源の対外協力開発法に従って、白樺のガス油田開発参加を歓迎する」となっている。これに対し、自民党の中川昭一元政調会長は「中国の法律の下、中国の企業に出資する。明治時代の不平等条約みたいなものだ」と批判した。

 中国の武大偉外務次官も「日本は(白樺の)主権が中国にあると承認することに同意した」と述べ、日中中間線を認めない立場に変わりないと語った。中国国内の反発が強いためでもあり、中国当局は「国民の理解と支持」を理由に詰めの協議に入らない。

 問題は日本の主権に関する権利が守れるかどうかだ。6月の合意は中間線を棚上げにして、資源開発を優先した。日本の中間線の主張は国際法上、正統な権利を持つのに日本側は言及しなかった。

 首相はギョーザ事件でも説明責任より対中配慮を色濃く示した。日本国民の安心や国家の安全を軽視していると受け止められるのは首相も本意ではないだろう。

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