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【主張】栃木・水没死事故 警察は状況に敏感対応を
警察には的確で迅速な対応が必須条件である。とくに住民と真っ先に接する110番を受け持つ警察官は、通報内容を瞬時に判断し、適切な指示を出すことがいかに重要であるか、改めて思い知らされた。
栃木県鹿沼市で起きた水没事故は、明らかに警察の対応の不手際が死亡につながったようだ。110番を受理した時点で、適切な指示を現場のパトカーに発信していれば悲劇を回避できた。猛省を促したい。
今月16日夜、鹿沼市の市道で豪雨で道路が冠水し、走行中の軽乗用車が水没した。この事故で、運転していた女性が車から出られなくなり、まもなく水死した。
栃木県警察本部の説明によると、水没した乗用車を目撃した男性から同県警の通信指令室に110番通報があったのに、警察は現場に出動しなかった。
水没事故現場から約1キロ離れた現場でも同じような110番通報があり、通報を受けた通信指令課員が同じ場所だと勘違いして新たな指令を出さなかったようだ。
この目撃者の通報から2分後には水死した本人からも、携帯電話で「車内に閉じ込められている」という内容の110番があったものの、途中で電話が切れ、現場を特定できなかったという。
110番を受理する通信指令課員は、錯綜(さくそう)する情報をテキパキと処理することが求められる。
110番をしてくる住民はあせったり、緊張したりしてなかなか要領を得ない。受理する警察官は、通報内容を適切かつ迅速に受理し、現場に向かうパトカーの警察官に直ちに伝えることが最大の任務である。
栃木県警は水没死亡事故の処理について、「事故の目撃通報に対し、的確な受理ができなかったことをおわびする」とし、非を認めている。他の警察本部も他山の石にしてほしい。
また、同じような通報は、鹿沼市の消防本部にも119番でかかってきたが、こちらも別の水没車両と勘違いし、現場に出動しなかった。警察、消防のダブルミスが最悪の結果を生んだ。地域住民の命を預かる警察、消防は今回の事故を今後の教訓としたい。
また、今年は異常気象の影響などから全国各地で局地的なゲリラ豪雨があり、想定外の雨量を記録する所が目立つ。気象情報には細心の注意を払う必要がある。