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新型インフルQ&A:行政機関の発生時への備えは?

 ◇機能性に欠ける国指針、自治体の対応ばらつき

 国や自治体は新型インフルエンザ発生時、社会の混乱を防ぎ、治療体制を整える役割を担う。厚生労働省の「発生初期における早期対応戦略ガイドライン」によると、国は発生初期に対策本部を設置。発生72時間以内の第1段階で検疫体制強化や自治体への抗インフルエンザ薬「タミフル」提供など3項目を実施する。一方、自治体は第1段階で患者に投薬する病院確保、感染拡大までの第2段階で学校閉鎖など8項目の措置を取る。

 ガイドラインは全部で13冊(A4判244ページ)。厚労省も「すべて読まないと把握できない」と機能性に欠けるのを認めた。国の対策の主眼は、感染者を一定範囲内に抑える「封じ込め」だった。だが、「人が密集して暮らす日本で封じ込めを実現させる可能性は低い」として、7月末の厚労省新型インフルエンザ専門家会議は封じ込めを選択肢の一つに格下げし、ガイドラインの大幅改訂が決まった。

 国は都道府県に、地域に即した行動計画の策定を求めている。具体策の一つが、患者が病院に押しかけても医療機能を維持することだ。ところが、6月の毎日新聞調査で、患者の入院病床を確保できていると答えたのは秋田など13府県。確保できないと答えた愛知県は「入院患者の転院対応や院内感染の心配から病院の了解が得られない」と説明する。

 患者発生時に一斉休校すると決めているのは山形など13府県。未定の千葉県は「どの時期に休校すべきか、国が示してくれないと判断できない」。

 専門家会議の議長、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「未知の病原体への備えは常に高めていかなければならない」と話す。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年8月26日 東京朝刊

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