二人旅 (2)
「(ホントに来ちゃったな・・・。)」
中央駅からホテルに向かうタクシーの中、鹿児島の街並みを見ながらそんな思いを抱いていました。
3日前に突如降って湧いた旅行なので、まだ少し戸惑っていたのかもしれません。
一方、彼女は楽しそうに車外の景色を眺めていました。
「(『来てよかった』と思う旅にしたい・・・。)」
路面電車の背を目で追いつつ、そんな思いに駆られていました。
少しして目的のホテルに到着しました。
限られた時間内でアレコレ比較検討した挙句、前日になってようやく予約したビジネスホテルです。
さっそくチェックインすべくフロントへ足を運ぶと、宿帳(カード)の記入をすることに。
自分の名前を記入した欄のすぐ下に『ご同室』と書かれた欄がありました。
そこに彼女の名前を記入した時、あらためてこの旅が『二人きりの旅』であることを実感しました。
一時間ほど部屋でゆっくりした後、ふたたびロビーへおりてきました。
実はこの日、となりの薩摩川内市で2時間にわたり「1万5千発」を打ち上げるという大規模な『花火大会』が実施されることになっていたんです。
「せっかくに鹿児島に行くのだから知覧以外にも何か目玉を・・・。」と思い組み込んだイベントだったのですが・・・。
「(退屈しない旅になりそうだな・・・。)」
ガラス越しに見た街は激しい雷雨にさらされていました。
( つづく )
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