民主党は25日、福田康夫首相が臨時国会の最重要テーマの一つに掲げる「消費者庁」構想の対案をまとめた。内閣から独立した「消費者権利院」を設置し、各省庁に対して強制調査や処分などの権限行使を勧告できる「消費者権利官」をトップに据える。9月2日の「次の内閣」会議で正式決定し、臨時国会に法案を提出する。
内閣の中に置く「消費者庁」と違い、政府の外から監視する「オンブズマン的構成」にしたのが特徴だ。「消費者庁」という組織形態に関し、野田聖子消費者行政担当相は「これだけは譲れない」と明言しており、臨時国会での対決法案となることは必至だ。
民主党の人権・消費者調査会がまとめた要綱によると、消費者権利官は民間から起用し、国会が指名することで閣僚以上の権威を持たせる。任期は6年で再任はできない。都道府県に「地方消費者権利官」を置き、中央の権利官が各地方の民間人から指名する。地方の消費生活センターを組織に取り込んで相談員を任期付きの国家公務員として雇用し、中央と地方の相談窓口の一元化も図る。相談員の人件費などで毎年約1000億円の経費を見込んでいる。
同調査会の仙谷由人会長は「政府案は屋上屋を架す役所を作るだけで、二重行政になって混乱する」と話している。【田中成之】
毎日新聞 2008年8月25日 19時05分(最終更新 8月25日 23時26分)