パラッパと『Guitar Hero』の意外な関係?…松浦雅也氏 海外ロングインタビュー
なんとも最高な表情のGuitar Hero熱烈プレイ!でもこれ、ケーブルは抜けてるそうで…
のちの大流行につながった音楽ゲームの先駆け、あのパラッパラッパーを生み出した七音社の松浦雅也氏が、海外ではこれから夏に発売されるPSP版のリリースを控え、先日Gamasutraにインタビューを受けた内容が明らかになっています。
日本では最近あまり注目されない松浦氏ですが、海外ではGuitar Heroのスマッシュヒットなどもあり、今に続く音楽ゲームの先駆者として、最初に荒海へ飛び込んだ勇気の証、GDCで"ファーストペンギン"賞に輝いたこともあります。インタビューでは現在開発中のゲームのほか、Guitar HeroのHarmonixとは意外な深い関係もあったようです。
“I Gotta Believe!”
Gamasutra: 現在は、どんなプロジェクトに取り組んでおられますか?
Matsuura: 私達は、もう一つのDSたまごっちを作っているところです。約2年前にリリースして、日本で100万本を売りました。ちょうど海外向けの続編を出して、今は第2の続編に取り組んでいます。
また、"リズミカ"と呼んでいるとてもカジュアルな音楽ベースのゲームも作っています。これは、あらゆる特定のプラットフォームをもちません。たくさんの種類のオーディオに向けられていて、可能な限り全てのデバイスに移植するつもりです。
Gamasutra: 例えばVib-Ribbon(ビブリボン)は、カスタムトラックを利用する最初のゲームの一つで、次世代ゲーム機のダウンロードサービスの類にふさわしいように思われますが、これは如何ですか?
Matsuura: はい、恐らく。その"リズミカ"は、ビブリボンに大変よく似たアイディアです。オーディオを解析してデータからゲームを生成しますが、CDの代わりにMP3を使うでしょう。私達は、ビブリボンのダウンロードバージョンを製作する可能性についても、ソニーと議論していますがまだわかりません。ソニーは、日本でダウンロードサービスを最近立ち上げたばかりなので、恐らくタイトルを明らかにする前にもう少し待つ必要があるでしょう。
入れた曲に合わせてコースが変わるビブリボン
Gamasutra: 水口さんとも話したのですが、ゲームを作る時にどんなインスパイアがありますか?あなたのゲームに特定のインスピレーションを与えてくれる源があるのでしょうか?
Matsuura: はい。ゲームを作る時、私の一番の源泉は基本的にコミュニケーションです。コミュニケーションは、普通二人の間の事柄についていいますが、私のコミュニケーションについての考えは時々それとは異なります。
自分と楽器やツール、ハードウェアとのコミュニケーションはとても重要です。ゲームを作ろうと考える時、これが私の基本的なインスピレーションです。
Gamasutra: あなたは元々ミュージシャンでいらっしゃいますが、音楽を作るか音楽ベースのゲームを作る以外の興味もお持ちですか?
Matsuura: ええ、例えば認知科学にも興味があるんです。楽器との関わりにしても、観客との関わりにしても、良い関係を築くにはそこで、非常にたくさんの認知プロセスが必要になります。こうした類の考え方というのは、ゲームアイディアとしてもとても良いのです。
また現在ご存知のように、日本のゲームでは脳トレスタイルが大きなトレンドです。この類のアイディアは、日本市場で巨大です。単なる気晴らし以上に、誰かの役に立つゲーム。これらは新しいコンセプトです。
こちらがFreQuency
Gamasutra: 携帯ゲーム、特にDSは本当に日本のマーケットを支配しました。そして世界的にも、かつてなく大きくなっている携帯ゲームは、これからの開発のあり方を変えましたか?
Matsuura: はい。我々にとってたまごっちの成功は、この数年にわたってDSゲームを開発する良い機会となりました。もちろん、将来についてはわかりませんが。現在、日本のデベロッパーは大変難しい状況に直面しています。大きくなったチームは、"軽い"DSタイトルを作ることができません。しかしもちろん、小さなデベロッパーは大きな据え置きタイトルも作れません。私達は会社自体を軽くすることにして、ハードやプロジェクトに応じて、開発チームを"バンド"にします。
Gamasutra: では、あなたは主に日本のユーザーのためにゲームを作りますか、あるいはもっと広い範囲で?
Matsuura: いい質問です。数年前までは、海外市場に関してそこまで考えていませんでした。しかし、最近だと(たまごっちはともかく)私たちの売り上げは約80%が海外からですので、今はより海外市場について考えなくてはなりません。
Gamasutra: それで、Guitar Heroはお好きですか?
Matsuura: ええ、とっても好きですよ。Harmonixのトップ、Alex Rigopulosとは10年以上の大親友でした。最初に音楽ゲーム(後のFreQuency)を出すために私達の所にやって来たころを思い出します。その時彼らにあった考えは、あまりゲームというよりは作曲ツールのようだったので、ずっとゲームっぽくなるように話しました。
Gamasutra: 音楽ゲームを作りたいという、とても多くの人にパラッパは影響を与えています。
Matsuura: 最初のパラッパからGuitar Heroが成功するまで10年以上かかりました。音楽ゲームが、ヨーロッパやアメリカに受け入れられるまで10年。私にとっても、これは大変大きなステップです。ひょっとしたら自分にも何か出来るチャンスがあるかもしれません。
(ソース: Gamasutra: “Q&A: NanaOn-Sha's Matsuura (Parappa) On The State Of Music Games”) (イメージ: Flickr)
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