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Gamasutra: それでは、二木幸生氏はどこに関わっておられますか?
Ray Nakazato: なにも…。自分がMicrosoftに加わった時、彼はすでにPhantom Dustを作っていました。私達は360の新しいプロジェクトを始め、彼は最後の(初代)Xboxプロジェクトでした。全部で6つのうち、5つは外部のデベロッパを使い、内製のLost Odysseyはすでに進行していました。これ以上の計画はなかったので、二木さんはこれらのプロジェクトのコンサルタント寄りになりました。上がってくるものをチェックしてダメ出ししたり、そういったこと。彼はまだその役目です。新しいプロジェクトを始めるべきだと、私は思いますが今それをMicosoft Japanの中では難しそうです。
Gamasutra: それは酷い。彼の仕事はいつも本当に印象的です。Panzer DragoonやPanzer Dragoon Saga(アゼル)は素晴らしかったです。そして、Phantom Dustです。私にとってこんなゲームはそうそうありません。彼は卓越したスタイルと、ビジョンを共に持っています。
Ray Nakazato: 彼も、AQインタラクティブに加わればいいのに!
Gamasutra: そうだったら、私には嬉しいです。ところで、以前坂口氏がLost Odysseyはリアルタイムとターン制のミックスになると話してくれました。ここについて、もっと教えてもらえますか?
Ray Nakazato: 基本的に、ターン制です。しかし、我々はそこにリアルタイムの要素を取り入れています。リアルタイムのアクションよりはもっと戦略的で、基本的な構造はターン制。戦闘とアドベンチャーを繰り返し、シームレスではありませんが、戦闘シーンになれば気を配らなくてはならないたくさんの事がありますし、タイミングについても集中する必要があるでしょう。ターンベースでいくつかのリアルタイム要素を持つ、戦略的な戦闘です。
Gamasutra: まだちょっと、古い感じもします。それで、Lost OdysseyではUnreal Engineを使ってますよね?
Ray Nakazato: ええ。
Gamasutra: Micosoft Japanは、外部ツールを使うのにうまくいってますか?
Ray Nakazato: 新しいプラットフォームに、Unreal Engine 3自体が開発進行中だったためそれは大変なことでした。日本では11月にLost Odysseyのデモを出しましたが、完成させたのは去年の6月です。当時、Unreal Engineはまだ未完成でしたので、不完全なミドルウェアで出す必要がありました。これは難しいことで、実際あのデモはUnreal Engineを使って最初に出たものじゃないでしょうか、あのGears of Warより先ですよ。たくさんの代替手段を用いる必要がありました。そして今、彼らもGears of Warを完成させ、エンジン自体ずっと安定しています。
Gamasutra: それでは、デモの後に相当やり直さないといけなかったでしょう。
Ray Nakazato: そうですね、しかしもっとも困難なのはコミュニケーションです。全ては英語で書かれます。日本語のサポートもありますが、それは限られているのです。実際に全ての良い情報は、ニューズグループでやりとりされています。もちろん英語ですが、私の開発者達はまったく日本人ばかりなのです。
Gamasutra: あなたの従業員が英語を理解することは、どれだけ重要ですか?
Ray Nakazato: これからますます、とても重要なことだと思います。それはさきほどお話したように、私達はハイエンドな製品を作る会社を選択しました。最新のテクノロジーに関して、他に対抗していく必要があります。優れた技術はどれも、アメリカから最初に来ますので、それらの技術をリアルタイムで学ばなくてはなりません。それには、英語が読めなければ話にならないのです。今や技術担当にとっても、英語は本当に重要です。
Gamasutra: 坂口氏とは、どのように関わってLost Odysseyを開発されていますか?
Ray Nakazato: とても緊密に。プロジェクトの始まりから、非常に近しい関係です。Mistwalkerのオフィスはとても小さい会社で、ほとんど坂口さんの個人事務所のようでした。その隣に、私達は大きなスペースを借りて、10人ほどを送りこみ初期の作業を行いました。その間に彼は、ストーリーを書いていました。
開発がうまくいっている今、彼はより遠くにいます。月に大体2回ほどお会いしますが、彼はハワイに住んでいて、半分の時間を日本で過ごし、もう半分をハワイで過ごします。ハワイの時はたくさん書いて、日本ではよりプロデューサー的な仕事をします。彼は、本当に深く関わっていますよ。今度また来てもらった時はゲームもプレイアブルになって、より多くの意見をもらえるでしょう。私達は、がんばって彼に認めてもらえないとなりません。それが、これから数ヶ月の間続きます。
Gamasutra: 最後に、スクエア・エニックスに関して私は松野泰己氏が、またなにか出してくれるのを期待していました。もう、あなたが(以前クエスト/ボーステックの)彼を雇ったらいいのに!
Ray Nakazato: ええ…しかし、坂口さんが今彼と話していますので、私はわかりません。彼もまた、自身の仕事を始めました。
(ソース: Gamasutra: “Ray Tracing: A Japanese Game Market Expose With Ray Nakazato”)
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