開発費もギネス級!『Grand Theft Auto IV』英Times紙がRockstarに潜入インタビュー
まだ正確なデータこそ出揃っていないものの、いよいよ発売を迎えた各国では、これまでの初日販売数を更新する記録的なセールスを続々と打ち立て、ゲーム史上にもかつてない大ヒットになりそうなGrand Theft Auto IV。世界をまるごとシミュレートするべく作られた次世代の超大作は、その開発費もなんとおよそ1億ドル(100億円)!
スコットランドはエジンバラにあるRockstar Northのトップで、GTA4のプロデューサーを務めるLeslie Benzies氏を、イギリスの大手新聞Timesがインタビューして長文のレポート記事を載せています。
Rockstar NorthのここCarlton Squareオフィスでは、約220人が働いています。しかし、あたりはまるで瞑想でもしているかのような静けさで、二つの階に跨る広大なオープンスペースのブラインドは下ろされたまま、壁に貼られたGTAシリーズの悪役がダウンライトで怪しげに照らされているばかり。Benzies氏がスタジオを案内してくれても、誰一人画面から振り返ることはありません。
「今の気分は空っぽになってしまい、ほとんど憂鬱なぐらいです。人生の中で大事な誰かを失ってしまったような状態で。これから、2〜3週間もしたら元気になるとは思いますが……」
かつてないアドレナリン全開のゲームが作られた拠点であるにもかかわらず、周囲は不気味なほど静まりかえり、スタッフ達はまるでチェスのトーナメントのような集中状態です。
「3年半もの間休むことなくプロジェクトに取り組んできて、テレビを見ることから友人関係まで全部捧げてきたんです。最後の4ヶ月になっても、目星がつくかどうかさえ確信できませんでした。全部が一つになったのは本当に最後の瞬間で、それまでは怖くてたまりませんでした。一体これはうまく行ってるのか?って、四六時中ドキドキしながら考えてみる他なかったんです」
シリーズの成功は、部屋の片隅に置かれたBAFTA(英国版アカデミー賞)のトロフィーにも明らかです。ゲームを開発している間、Benzies氏と主要なメンバー達はほとんど休みもなく、一日12時間は働きました。彼らはスコットランドの聖職者のように、まるで禁欲的に働いて――あるいは禁欲的に遊びました。
「仕事には、100%集中しなくちゃダメです。他のことをするような時間も余裕もありません。ここの社員はみんなゲームを作ることが大好きで、それはバンドの中で音楽を弾くようなものです」
GTA4――実際にはシリーズで8作目のゲームになりますが、ゲームをコンプリートするまでにはおよそ60時間はかかります。Benzies氏はこれを40回はクリアして、もう2度とプレイしたくないかもしれません。全てのシーンは俳優達によって何度もリハーサルされ、アニメーターによってその一瞬が焼き付けられていきます。台本のスクリプトは1,000ページにも及びました。
「お芝居を組み立てて、映画を何本か撮って、音楽のアルバムを作るようなものです。それ全部を一つのパッケージにするんです」
一体どれだけの費用がかかったか、彼にはその手がかりすらありませんが、1億ドルに達すると推計しています。およそ1,000人の人達が開発に携わり、完璧主義者の彼らがチームに対する要求は途方もないものでした。
GTA4のために、ニューヨークの街の屋上には定点カメラが設置され、ビルに打ちつける雨の様子を正確に捉えます。ロケでは、10万枚を超える量の写真が撮影されました。アメリカでは、ゲーム中のラジオで流れる150もの曲全てをAmazonからダウンロード購入することさえできます。
「僕達は、常にずっと自分自身と張り合ってきたんです。ほんの少しでも何かおかしなところがあったら、それはゲームに出てしまうし、修正しなくてはなりません」
この間、会社はアメリカでElectronic Artsによる敵対的な買収騒ぎとの戦いを余儀なくされ、ゲームの開発は特に深刻なものになりました。
「アメリカ政府、イギリス議会、マスコミ。ここ3年に渡って、そうした苦労は止むことがありませんでした。自分がそういう争いに巻き込まれた時には、まず一度でもゲームをしたことがあるのか?って聞くんですよ。いつだってそう、彼らはプレイしたことがないんです」
親会社のRockstar Gamesは、チームがエジンバラに引っ越す資金を提供し、自由な環境で作られた前作のGrand Theft Auto IIIは革命的なヒット作になりました。本社があるアメリカへ引っ越すこともできたはずです、なぜスコットランドに留まったんでしょう?
「天気のために」
Benzies氏はまじめな顔でいいます。
「太陽がないしね。海外なんかにいたら、ぽかぽかした日差しの下で一日中何もしないでいい気持ちになっちゃうよ。この土地以外では、自分はすぐにそわそわしちゃってダメなんだ。僕らみんなここにいて、ここが家だからね。スコットランドが大好きで、ここの人たちが好きなんだ」
これまでより、もっと素晴らしいゲームを作ること。
こうした人生にかける情熱や愛情に比べたら、彼にとって仕事以外の興味は明らかに二の次であるようです。Benzies氏は最後にこういいます。
「僕らが世界を全部シミュレートするまで、立ち止まるつもりはありません」
(ソース: TimesOnline: “Grand Theft Auto producer is Godfather of gaming”) (イメージ: Flickr)
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