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グーグルのストリートビューで見た四条通花見小路下ルの風景。路上からの眺めを360度、自由に見ることができる |
路上から見た360度の風景をインターネットで無料で見ることができるサービスを、検索大手グーグルが京都市など国内12都市を対象に始めた。住所が分かれば個人の家やマンションなども簡単に探り当てることが可能で、プライバシー侵害を懸念する声が上がっている。一方で、京都への観光客の呼び込みにつながるとの期待もある。
グーグルの新サービス「ストリートビュー」で、地図サイトで住所を指定すると、路上からの眺めを見ることができる。撮影は回転しながら撮影するカメラを搭載した車で行い、京都では今年4月に実施したという。
今月5日から京都市のほか東京、大阪、神戸などで開始。昨年から始めた米国では現在、50都市の情報を提供。不動産業者が物件紹介に活用しているという。
通行人の顔は特定できないようにしているが、漏れがある場合は要請に応じてぼかす。個人宅も希望に応じて塗りつぶすという。路上でベビーカーを押す姿が映った北区の主婦(39)は「撮影は全然気づかなかった。盗撮されているようで気持ちが悪い」と話す。
グーグル広報部は「公道から視覚的に見えているものだけを使っている。削除要請にも個別に応じ、個人情報保護に努めている」としている。
5月末に強盗殺人未遂事件があった京都市南区上鳥羽地域は工場が多く、通学路に死角が多い。自治連合会長の森岡梅次会長(69)は「空き巣や痴漢の下見に悪用されないか」と心配する。
京都市は6月からグーグルの航空写真検索サービスに観光情報を載せている。市観光振興課はストリートビューについて「十分な個人情報保護が大前提」とした上で、「名所やまちの詳しい地図案内などで観光客誘致への可能性を秘めている」と期待している。
■プラス面大きい
立命館大映像学部の細井浩一教授(デジタルコンテンツ産業論)の話 公道から撮影した画像に入り込んだ人や家、商店にどこまで肖像権があるのかは、まだ法的に明確になっていない。IT社会における公共圏はどこまでかを議論するきっかけになるだろう。その意味で興味深い。今回のサービスは問題点より、地図と連携した新たなビジネスが広がる可能性など、プラスの面が大きいように思える。
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