Re:プリザーブド・マイハート

■[創作]ゴーストに人間は愛せない 00:04

俺は今日盛大に寝坊してしまったワケで、これはどう考えても自分のせいなのだ。「振動で座布団の上に落下して音が出なくなった目覚ましが悪い」「遅くまで開放してくれなかった人が悪い」「起こしてくれなかった人が悪い」「そもそも俺はいつも昼過ぎに起きる生活をしていた」。かように他者に責任を押し付けようと思えば、いくらでも転嫁できる。

しかし、だ。悪いのは起きれなかった自分だ。悪かった自分を認めるのには勇気がいるし、苦痛を伴うことでもある。転嫁したら楽だよ。俺は悪くなかった。イエスザッツライ！　悪いのは「アイツ」さ。

でも、そんな人間は生きていると言えるのか？　俺はそいつが生きていることを認めないし許可しないし許さない。自ら反省し、前に進むということを諦めた人間は、ただの死体で生きる屍で、残留思念でゾンビで、ただのゴーストに過ぎない。

ただ世の中を恨み、そのためだけに存在しているゴーストに人は愛せるのか？　あるいは女性ならば、愛せるのかもしれない。「あのね、あたしたち好きな人に もう一度会うため歩いただけよ」「あのね、あたしたち好きな人の 肌に触れるため歩いただけよ」「だって あたしの好きな人は 血まみれだって抱いてくれるワ」再殺部隊バイ筋肉少女帯。

そういうのは女性にのみ許された行為でしかないし、好意でしかない。そんな愚かな女を愛す愚かな男はそれこそザラにいる。が、ゴーストに人間は愛せない。

お前は生きてるのか？　世の中を呪って、自意識に呪われて、そのままズルズルと消えていくゴーストとして存在したいなら、そうすればいい。その代わり俺はバッチリ生身の女を愛して抱いて、バッチリいかせてやるよ。つまらん人生だったね。