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「医師養成数50%増を」ビジョン会議で骨子案

 医師不足解消の具体策などを検討している厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会(座長=高久史麿・自治医科大学長)は、8月23、24の両日、東京都内で集中審議を行い、土屋了介委員(国立がんセンター中央病院長)らが最終報告の骨子案を提示した。骨子案は、日本の人口千人当たりの医師数を現在の約2人からOECD(経済協力開発機構)平均の3人程度にまで引き上げるため、現在は約7900人の医師養成数を段階的に50%程度増やすなどの内容。増員の時期については、「可能な限り速やかに」としている。最終報告は27日に取りまとめられる見通し。

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 委員らが提示した最終報告の骨子案では、これまでの検討会で上がった意見をベースに、▽医師養成数▽医師の偏在と教育▽地域医療・救急医療体制支援と住民参加▽コメディカルの雇用数と養成―といった課題ごとに現状認識と中長期ビジョン、短期的対策を示した。

 このうち、医師の養成に関する現状認識では、「ほろ酔い〜酩酊(めいてい)初期の注意力まで低下した状態の医師が診療に当たらざるを得ない現状では、患者の安全が脅かされている」などと指摘。安全性の向上や医師の過剰労働緩和には、「医師養成数増加が必要不可欠」だとし、養成数を可能な限り速やかに、少なくとも現在から50%増加する方向を提言した。
 また、短期的対策には、来年度の医師養成数を462人増やして過去最大程度に引き上げるほか、女性医師支援の一環として、一般保育所に医師の子どもを優先入所させることなどを挙げている。

 中長期ビジョンで、養成数の50%増に何年かけるかは「調整が必要」とした。仮に、今後10年間で400人ずつ定員を増やした場合の試算として、人口千人当たり医師数が現在のOECDの平均(3人)並みになるのは20年後になるとの見通しも示した。
 増員後は、需要動向に合わせて養成数を適切に調整することを提案。必要な養成数や養成方法を、医療現場や医学教育の関係者らが自律的に検討する方向も盛り込んだ。

 骨子案ではまた、内科系に比べて技術習得に時間がかかる外科系志望者が減少している点について、「将来の医療を考える上で極めて深刻な問題」と指摘。診療報酬にドクターフィーを導入し、特に外科系の診療技術習得(継承)に対するインセンティブを与えるなどの取り組みを求めた。
 また、地域医療・救急医療現場での患者の急増に対応するため、小児救急や時間外分娩を担当した勤務医に対する手当の直接支給や、緊急度に応じた治療の優先順位付けを担わせるため、「トリアージナース」を配置した病院への財政支援なども盛り込んだ。

■委員は肯定論が大勢、座長は慎重姿勢
 23、24日の集中審議は当初、神奈川県湯河原町での合宿による開催を予定していたが、批判を受けたため、都内での開催に切り替えた。

 23日の検討会で厚労省は、医学部の定員を増やした場合の医師の需給見通しに関する試算データを示したが、女性医師の増加などの要素を盛り込むよう求める意見が相次いだため、データの集計をやり直すことになった。また、24日の検討会で舛添要一厚生労働相は、医師の卒後研修を見直すため、文部科学省と合同で検討会を設置することを明らかにした。福田康夫首相や鈴木恒夫文部科学相と協議し、週内にも設置するという。

 このほか、医師の初期・後期研修の在り方、診療科や地域間偏在の解消策、助産師や看護師とのスキルミックス、専門医制度の見直し、地域でゲートキーパー的な役割を果たす総合医の在り方などについても議論した。

 24日の検討会では、医師養成数の50%増に対して前向きな意見が大勢を占めた。これに対して高久座長は、「多過ぎるのではないかと心配する関係者がかなり多い」「医師を増やすのは10年でできるが、一度増やしたら減らすのに40年はかかる」などと慎重な対応を求めた。
 土屋委員は、「増え過ぎて困るという点では、今の歯科医師の問題がまさにそうだが、不満は国民からではなく、むしろ歯科医師から上がっている。国民は今の歯科医師の状況に満足している」などと応じた。


更新:2008/08/25 16:03   キャリアブレイン


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