「専門的な家庭医を」―俳優・石坂浩二さん
医師不足対策などを舛添要一厚生労働相と有識者が話し合う会議で、俳優の石坂浩二さんが、地域医療を支える専門的な家庭医を育成する必要性を語った。医療機関の拠点化(集約化)については、「医療を政治の道具に使ってもらっては困る」と、否定的な考えを示した。
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医師養成数「過去最大を一発でやるか」―舛添厚労相 厚生労働省は8月24日、「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会(座長=高久史麿・自治医科大学長)を開催した。
この日は、来年度予算の概算要求に向け、医師養成数の増加や救急医療体制の見直しなどを盛り込んだ最終報告の骨子案について議論。患者や一般国民の視点を盛り込むため、「健康大使」として厚労省が進める健康づくりに協力している石坂さんから意見を聞いた。
石坂さんは、英国の「家庭医」などを紹介した上で、軽症患者を病院が診ている日本の医療提供体制を問題視し、「わたしが子どものころは、近所の先生がすぐに往診に来てくれた。先生の顔を見れば治ってしまうのだが、今はそれを病院がやっている。“コンビニ受診”は大変な問題で、病院をそのように使うべきでない」と述べた。
さらに、地域の医療提供体制に触れ、「無計画に箱物を造らないでほしい」と求めた。石坂さんは、支援した国会議員が落選したエピソードを紹介し、「橋や道路を造り、病院をどかんと建てた議員が当選した。一票のために病院をつくるなど、医療を政治の道具に使ってもらっては困る」と批判。医療機関の拠点化(集約化)に否定的な考えを示した。
石坂さんの意見に対し、高久座長は「おっしゃる通りで、日本は医療提供体制がきちんとできていない。(軽症)患者が病院に行って、病院が疲弊している」と述べ、プライマリーケア(一次医療)の重要性を指摘した。
舛添厚労相は「わたしも石坂さんと同じ意見」と賛意を示し、地域医療を支えるネットワークを再構築する必要性を指摘。「昔の方が、はるかに地域社会が生きていて医療のネットワークがあり、安心感があった。地域コミュニティーの再生が必要だ」と述べた。
その上で、舛添厚労相は「医療提供側のネットワークがしっかりしていたから地域コミュニティーがあったのか、それとも地域コミュニティーがしっかりしていたから医療のネットワークができていたのか」と問題提起。石坂さんは「専門的な家庭医を育てないといけない」と答えた。
更新:2008/08/25 16:15 キャリアブレイン
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