政府が「第三国定住」の受け入れに乗り出した背景には、国際貢献の一環として難民の積極的受け入れを求める声の高まりがある。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のまとめでは、先進諸国の07年の難民認定数は、米国1万7979人▽フランス1万2928人などと比べ、日本は41人。内外の人権団体などからも「日本の取り組みは消極的」との批判は少なくない。
UNHCRへの拠出額をみれば、日本は米国に次いで2番目に多く、難民問題に理解がないという指摘は必ずしも当たらない。ただ、治安の悪化を懸念する向きもあり、積極的政策が取りづらい状況にあるのも事実だ。こうした中、難民認定のハードルを緩和して認定数を大幅に増やすのではなく、一定の枠組みで受け入れる第三国定住は折衷策といえる。
だがUNHCRの滝沢三郎・駐日代表は「小規模でも難民を受け入れることで日本に対するイメージは確実に変わる」と強調する。難民にとって日本はほとんど未知の国だ。諸国に門戸開放のアピールをするとともに、教育や福祉など受け入れ体制の充実を進める必要がある。【石川淳一】
毎日新聞 2008年8月25日 東京夕刊