台湾:忠烈祠に日本人記者ら合祀 遺族の同意なく問題に?

 【台北・庄司哲也】台湾の金門県は24日、中国軍が金門島を砲撃した1958年の第2次台湾海峡危機を取材中に死亡した日本人記者ら6記者を戦没者や英雄を祭る忠烈祠(ちゅうれつし)に合祀(ごうし)した。外国人を忠烈祠に祭るのは初めて。遺族の同意はなく、今後、問題になる恐れもある。

 合祀されたのは、読売新聞の嘱託臨時通信員だった安田延之記者(当時23歳)。安田さんは、砲撃開始後の同年9月26日、他の外国人記者ら7人と金門島に取材に向かい、高波のため乗っていた上陸揚舟艇が沈没した。

 23日が金門島の砲撃開始から50年に当たるため、台湾の軍事記者が、安田さんら殉職した記者を忠烈祠に祭ることを提案。金門県が合祀を決めた。

 金門県の担当者は「記者は戦士たちのニュースを全世界に届け殉職した」と合祀の理由を説明。だが、安田さんら外国人記者の遺族に連絡がつかないことを理由に、合祀の承諾を得なかったという。

 忠烈祠は、軍人や警察官のほか、民間人も合祀対象。台湾の抗日犠牲者や中国共産党と国民党が戦火を交えた国共内戦の犠牲者も祭られている。

 安田さんのおいで、東京都の仏具会社役員、安田元慶さん(33)は「当局からの連絡はなかった。通すべき筋が省かれてしまった印象を受ける」と話している。

毎日新聞 2008年8月25日 2時30分

文字サイズ変更
この記事を印刷
印刷

ニュースセレクト アーカイブ一覧

 

おすすめ情報