内柴正人選手
浜口京子選手
杉山愛選手
鈴木桂治選手
北京五輪も終盤。競技を終えた多くの選手が、インターネットのブログに心情をつづっている。今回初めて大会期間中のブログの更新が「解禁」になり、自分の言葉で思いを伝えられるようになった。一方、早々に負けたため中傷が殺到、書き込みの削除に追われたブログもあった。
「やっぱり柔道は僕の仕事です。感謝しています」
北京五輪で日本初の金メダリストとなった柔道男子の内柴正人選手は頻繁にブログを更新している。他の選手を応援するほか、帰国直後に成田空港での歓迎に驚いたとし、「空港で出会った方々、すいません。嫌面マックスでしたね」と反省を述べた。
女子レスリングで銅メダルを獲得した浜口京子選手は、試合の翌朝5時に自分のブログに「みんなで勝ち取った北京五輪銅メダルです(笑顔) 最高に嬉(うれ)しいです☆☆」。
国際オリンピック委員会(IOC)は今回の北京五輪から、選手が大会期間中にブログを更新することを認めた。ただし、内容は自分のことに限られ、他の選手へのインタビューや、試合の様子の音や動画を載せるのは禁じられている。
女子テニスに出場した杉山愛選手は開会後の10日、「期間中のブログは、規制があるのですよ。写真も使っていいものと使えないものがあって、ちょっとややこしい」と記した。次の更新はシングルス、ダブルスとも敗退後の16日。「いいプレーができなかったことが悔しいけど、また切り換えていくしかないですね」と書いた。
予選で敗退した陸上の為末大選手は「私なりに今できる事は全(すべ)てやったつもりです」と冷静に分析。陸上1万メートルで17位に終わった渋井陽子選手は試合の翌朝、こう記した。
「悔しくて…眠れず…朝です…」
日本選手団の主将も務める柔道男子100キロ級の鈴木桂治選手は1回戦で敗退、敗者復活戦も初戦で敗れた。18日、ブログに「誰とも会いたくないし、なるべくなら帰国もしたくないくらいです」と書き込んだ。読者のコメント欄には「謝る必要なんてない」「最後まで、主将を全うしてください」と励ましのメッセージが連なる。
しかし、14日の敗戦直後は、「練習していないで遊んでいるからこういうことになるんだ!」「暴言ばっかだねココ」といった書き込みが相次ぎ、ブログの管理者は削除に追われた。
鈴木選手ら6人と1チームの五輪出場者も利用するサイバーエージェント(東京都渋谷区)の「アメーバブログ」は、ブログ開設者約357万人のうち芸能人やスポーツ選手が約2300人を占める。人気ブログも多いが中傷が殺到する「炎上」の危険もあるため、タレントやスポーツ選手のブログは外部委託を中心に約20人が書き込み内容を監視している。「わいせつな内容や中傷に加えて、スポーツ選手はプレーへの批判も削除対象」と広報担当者は話す。
複数のブログやサイトの監視を受託している企業の担当者は「炎上しかけたら、営業や経理担当者まで動員することもある」。陰の努力がブログ運営を支えている。(松村北斗、見市紀世子)