射撃女子エアピストルで、ロシアのナタリア・パデリナ(32)が銀メダル、グルジアのニーノ・サルクワゼ(39)が銅メダルに輝いた。戦闘が激化している国同士だが、両選手は表彰式の後、互いに歩み寄って抱き合った。
サルクワゼはソ連代表として88年のソウル五輪に出場。2種目で金、銀メダル各1個を手にしている名手。「前夜は国のことを考えて眠れなかった」と打ち明けたが、銅メダルをかざすと「こういう時だから母国にとって価値がある」と話した。
国際大会でもよく一緒になる2人は、仲のいい友人同士。記者会見の間も笑顔を交わし合い「何事もわたしたちの友情は壊せない」「2人は政治とスポーツを混同したことはない」と口々に言った。
「戦争を起こすのも止めるのも政治家。話し合ってほしい」とサルクワゼ。記者から「彼らはあなたたちに学ぶべきだ」と声がかかると「それができていれば戦争は起きない」と答えた。【共同】
毎日新聞 2008年8月11日 東京朝刊