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9 林真須美被告弁護人 小田さん(51)2008年07月29日 ●犯人像と結びつかない被告 林真須美被告弁護人 小田幸児さん(51) 和歌山地裁の一審から、林真須美被告(47)=一、二審で死刑判決、上告中=の弁護人を引き受けている。 林被告は一審で黙秘した。今の裁判所は「疑わしきは被告人の利益に」の原則が守られていない。下手に弁解し、供述が信用できないとされれば「被告人は嘘(うそ)を言っているから犯人だ」と認定されかねない。そのリスクを考え、黙秘した方がいいと判断した。 しかし、一審は死刑判決。控訴審で黙秘を続けた場合、判決を覆せるか。そういう理由で林被告は供述した。被告がヒ素に扱いなれている、毒性をよく知っているとして、一審判決が犯人性や殺意を認定したところを崩そうとした。ヒ素は、被告の夫や林家に出入りしていた人も毒性を知った上で飲み、保険金詐欺のおこぼれをあずかっていたと。でも、二審判決は、後からの供述は信用できないとした。 上告審での主張のポイントは、動機面と犯人らしくないということ。一審から接してきて、被告は無差別に事件を起こすタイプではないと感じている。体を張った保険金詐欺で生活していた人たちで、金にならない事件は起こさない。カレー事件の犯人像とは全く違う。また、保険金詐欺という計画的で綿密な犯罪形態と、ヒ素を入れた紙コップをそのまま捨てていくずさんさが結びつかない。 目撃証言についても変遷しており信用できない。また、捜査機関のヒ素の鑑定や保管もいいかげんだ。被告の旧宅から押収されたミルク缶の底についていたヒ素が、行方不明になっていた。非常に精密な分析なら、証拠管理がずさんだと鑑定自体が汚染されてしまう。適正な法定手続きを定めた憲法31条に反していることなどを主張していく。
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