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2008-08-20

踊る鳥 ― 喋りとリズム感

やあ,踊る鳥のビデオだよ。こいつは愉快だ!

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このノリの良さにはまったく驚かされるけれど,このビデオには単なる面白映像という以上に興味深いところがある。

まず,これは意外に思われるかもしれないけれど,人間以外の動物のほとんどは「リズムにのる」ということができない。認知進化の専門家によると,人間に最も近い霊長類のひとつであるチンパンジーを連れてきて,特殊な訓練を施しても,リズム感を獲得することはできなかったという。

そのようなこともあって,「リズムにのる」という能力は人間に特有のものであると考えられてきた。ところが,上のビデオを見れば分かるように,「リズムにのる」ことのできる動物は,確かに存在する。これはどういうことかと調べてみると,どうやら鳥類の中にはリズム感を持つものがいるらしいということが分かってくる。さらに詳しく調べてみると,どうやらインコやヨウムのように喋る能力を持つ鳥だけがリズム感を持ちうるらしいということが判明した。

でも,どうして喋る鳥だけがリズム感を持ちうるんだろう? その理由について詳しいことは分かっていない。ただひとつ言えるのは,チンパンジーには無くて喋る鳥にはあるもの ― つまり「喋る能力」が大きく関連しているのだろうということ。

大きく異なる進化の過程を辿った2つの種に対して,「喋る能力」と「リズム感」という同じ能力の組み合わせが発生したということは,進化の過程でそれらを得たというよりも,そもそも「喋る能力」というものが原理的に「リズム感」を生みうるということなのかな……その逆かもしれないけれど。

今までは,なんとなくのイメージで,リズム感というのは動物的な本能から生まれるものと思っていたのだけれど,そのイメージがひっくり返されてしまったような感じがする。実は人間と一部の動物だけが持つ特殊な能力に付随するものだったんだ……と。

(via BPS Research Digest)

2008-08-13

サーバー並行性は現実,クライアント並行性は未来

Sutter’s Mill - Server Concurrency != Client Concurrency

Exceptional C++ の著者として有名な Herb Sutter さん。最近はソフトウェアの並行性 (concurrency) に関する啓蒙活動を精力的に行っている。その活動の一部は Dr. Dobb’s の記事氏のブログなどで見ることができる。

ソフトウェアの並行性や,それによって得られるスケーラビリティが,どれだけ重要なことかというのは,例えば Google が提供している様々なサービスなどを見てみれば実感できることで,最近ではそれほど珍しい考えではなくなっていると思う。

でも,それはあくまでもサーバー側の世界で起こっていることの話。 Google が持っているようなサーバーには,気の遠くなるような量のデータが格納されていて,それに対してとんでもない数のリクエストが飛び込んでくる。そういった類の処理を効率よく捌いていくのに並行性が役に立つというのは,かなり前から分かっていたことで,それを実現するための知識や技術も着実に蓄積されてきていた。

それに対して,クライアント側の世界 ― つまり,みんなが個人的に使っているPCの中で,並行性を活かすということについては,意外なほどうまくいってない。クライアント側はサーバー側とは違って,いろんな人が作ったバラバラな仕組みのプログラムが雑然と動いている。それに対して,ユーザーからの複雑で細かなリクエストが,気まぐれに舞い込んでくる。そういった類の処理に対して,サーバー側と同じ理屈で並行性を活かすことは,どうやら無理と考えた方がいいようだ。

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Sutter さんが頑張っているのは,この「クライアント側の世界」に並行性を持ってこようということ。それは,例えば Photoshop の動作が軽くなるとか,プログラムのコンパイルが速くなるとか,そういう狭い範囲の話じゃない。デスクトップ上で動く様々なソフトウェアが並行性によって快適に動作して,あらゆるユーザーがその恩恵を受けることができる……そんな未来を目指している。

さて,果たして,そんな未来,訪れると思う? その結末を占うことは難しいけれど,ひとつ確実なのは,もし「並行性のおかげですごく快適なデスクトップOS」が現実のものになったら,そのOSはたくさん売れるだろうということ。 Microsoft がこの分野に力を入れているのも,そういった未来を描いてのことなのだろうと思う。

2008-08-11

E-MU Proteus VX (free!)

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先日, E-MU Systems 社のソフトウェア音源 Proteus VX の無料配布が開始された。

E-MU Systems - Proteus VX

E-MU の Proteus と言えば高品質サンプリング音源として20年近くの伝統を持つ製品。それが無料で手に入ってしまうとは,ちょっと驚きの事態だと思う(無料化された経緯については,今のところよく分からない……)。

さっそくダウンロードして試してみたのだけれど,やはりとてもいい! 音質はもちろんのこと,収録されている音色バリエーションも十分(総計1024音色)。それでいて動作は比較的軽く,使い勝手も良い。

個人的な事情で言うと,ピアノストリング系の「定番な音」を出す音源に不足していたので,これらをほぼ完全にカバーできるようになったことが嬉しかった。先日の AquesTone の試奏でも,つい嬉しくなってピアノを無理やり混ぜてしまっていたりする。

これから DTM を始めようという人にとっても,この Proteus VX は定番のプラグインになるはず。 Synth1 と並んで「とりあえず入れておいて損はしないプラグイン」というような扱いになるんじゃないかなと思う。

2008-08-10

ボーカルシンセサイザー AquesTone

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AquesToneAQUEST 社によって開発されたボーカルシンセサイザーVOCALOID 等の先行するボーカルシンセサイザーとは違って,リアルタイムに演奏することを重視した設計になっている。せっかくなので,リアルタイムに演奏する様子を映してみた。

VOCALOID も VST プラグインとして使えばリアルタイムに演奏できないこともない。でも,それと比較して AquesTone は,非常に動作が軽く,入力に対する反応も良くなっている。

とりあえず歌詞はでたらめに入力しておいて,てきとうにソロを弾きながらホイールグリグリすれば,あっという間に不思議な無国籍風音楽のできあがり ― これだけでも十分に面白い。

個人的に思ったのは,どことなく De De Mouse っぽいかな,ということ。使い方の参考にしてみるといいかもしれない。

この AquesTone を VOCALOID と同じように使うことも可能だろうけども,単に「ものすごくユニークな音のする楽器」と割り切って使ってみるのも面白いと思う。そう考えると,これが「今までに無かった超新感覚のシンセサイザー」であるかのように思えてくる……いや,実際のところ,そうなんだろうと思う。

あと,重要なことに, AquesTone は今のところフリーで配布されているから,「VOCALOID は高くて買えない!」っていう場合の代替手段としても使うといいよ!

2008-08-09

KORG DS-10

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DS-10 のアナログシンセ的な側面を出そうと思って作成した動画。

DS-10 の個人的な萌えポイントは,コルグのバーチャルアナログ (VA) 音源を,本当に DS に積んでしまったというところにある。処理能力的なことを言えば,それはとりたてておかしなことではないかもしれない。 DS ほどの処理能力があれば,ギリギリなんとかなるんじゃないかな,と思う。

でも,もし VA 音源を動かすために費やしている処理を削って,他のことに活用したなら,色々たくさんのことが可能になる。バンブラみたいに汎用性の高いものにしてみたり,エレクトロプランクトンみたいに洒落たものにしてみたり,とか。

そこを DS-10 は,色々なことがギリギリになってしまうと分かっていて,敢えて本当に VA 音源を動かすという選択をした ― "DS-10" という看板が嘘にならない,最も正直な選択をしたということ。

その選択をやってのけたことは,凄いという以上にクレイジーだと思う。「それはやったらできるけど,普通はやらないでしょ」みたいなことを,本当にやってしまった……そういうクレイジーさが,このソフトには潜んでいると思う。

というわけで,このソフト,できればぜひ,アナログモデリングであることを味わい噛みしめるような使い方をしてみたいところ。上の動画ではやってないけれど,ギター用のアンプシミュレーターなどを使って音を汚してやると,フィルターの色がいい具合に変わって面白かったりする。そういうダーティーな使い方が意外に似合う音源だと思う。

ライアン・レスリーのレコーディング風景がすごい

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ライアン・レスリー (Ryan Leslie) の "Addiction" のレコーディング風景。疲れることを知らない天才プロデューサー・レスリーは,夜を徹して自らのクリエイティビティを音楽にぶつけ続ける……といったところ。

しかし,このテンションの高さは見てるだけでこっちが疲れてくる。後の方になるほど,レスリーの動きがレコーディングと関係無くなってくるような気がするけど……。

レスリーの YouTube チャンネル "RyanLeslieTV" には,他にもいくつかのレコーディング風景が公開されているので必見。というか,本来の PV よりも,こっちのレコーディング風景の方が面白いと思う……。

Youtube - RyanLislieTV’s Channel