2008年8月24日(日)
外見
手指の曲がりと自閉症の関係を前に書いた。
胎児の発達を研究しているグループによると、
自閉症の発生原因の発達時期（多分脳梁）と、手指の発達時期が一致しているというところから、
自閉症の子供を観察すると手指が中指に向かってゆるく湾曲しているというのだ。
しかし、逆は必ずしも証明されていない。
つまり、手指が曲がっているからといって、自閉症の仲間とは限らないのである。
つまり、「ＳＡＭ」の欠陥だな。
ただ、何か環境因子で突然変異的に「自閉症」が発生した家系は分からないが、
我が家や、妻の家の様に、先祖代々「妙」な家系にあっては、
手指だけが曲がっている定型発達が多数存在しても何もおかしくないし、
逆に手指が曲がらずとも、「ＳＡＭ」だけに欠陥を持つことも考えられる。
そもそも、自閉症の判読判別すら、明確に出来ないんだから、手指の話も統計にはそぐわない話なんだな。残念。
ただ、クソチンコの様に、どう見てもどう読んでも「自意識ぷんぷん」でどう見ても「ＳＡＭ」が肥大している奴を見つけたとき、
手指を見ると、非常に参考になるな。
クスリについて質問を受けたが、
文中何度か書いているが、私も妻も子供の分量で極端によく効いたから、
副作用はなし。但し、明確な副作用は目のピントが合わず、老眼が非道くなったことだけだ。
生活には全く支障は無いな。 今日はこんなところ。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月24日(日) 15:23
[
コメント
: 0]
2008年8月23日(土)
社会性
はたまた実社会で本当に生きていく悩み。
これは、自閉症、定型発達に関わらず起きる問題だ。
この辺の悩みをして、「私もいっしょ。私もアスペ」となってもらっては困る。
悩みは一緒でも、それに対する生体反応が「アスペルガー症候群」は違うんだ。
最も違うのは、「防衛規制」の働きだ。
定型発達は「すわ、一大事」と「防衛規制」が働き、本体が傷つかないようにする。
ところが、自閉症は「防衛規制」の働きが弱いから、攻撃そのままを受けてしまう。
定型発達は、「忘れる」という最大の防御が働く。働きが悪くなると鬱病になり、
多くの鬱病、或いは鬱病予備軍が自分の事を「アスペ」になぞらえるのはここに原因があるのだ。
さて、では本当のアスペルガー症候群はどうすれば良いか。
一番は「忘れること」しかし、これは記憶が極端に強い自閉症には不可能だ。クソチンコ以外は。
その２ 付け届け今ならお中元は遅いから、残暑見舞い。
本人に嫌なら、過去に貰ったいらない外国土産でも、奥さんかお子さん宛に送る。
その３ 見え透いたお世辞を準備しておいて、敢えて言う。
その４ 会社に絶対ばれない様に、極秘で転職先を探してみる。或いは探し続ける。
私のお薦めはその２かな？思いついたときで良いから、贈り物をする。
安物はすぐばれるから、手元にあるなんか不要なちょっと高価な感じの物。
その４は、現実に探し始めると、もう後戻り出来なくなるような気がするが、
多くの定型発達の連中は、定期的に転職探しをしては、ストレスを発散しているようだ。
「辞める振り」「辞めるごっこ」が出来ると思えたなら、４も可能。
但し、自閉症は定型発達と違い、ごっこ遊びが出来ないからなぁ。
虻蜂取らずにならないかそれが大変心配だ。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月23日(土) 06:00
[
コメント
: 0]
2008年8月22日(金)
？
図らずも笛から、実社会での対人関係の悩みの素材提供を受けた。
笛から見た「対象」は、すべてに於いて優れていて、且つ自己実現を果たした人物であるという。
単純に、条件面を並べたら、誰もが羨む存在「らしい」。
その彼がなにゆえ、「笛ごとき」に干渉するのか。
本当に人の気持ちは分からない。（この事をして自閉症は想像力が無いとするのだが）
自「他」共に羨む存在なのに、小物の動向ばかりに左右される。
今の笛の状態を私が「想像」するとこうなる。
彼の頭の中で自分は最高の「羨まれる」存在である。
羨まれる存在であるには、「自分」が認めるだけではなく「他」の部分が認めなければならない。
・・・
他の社員は、「歯が浮くようなお世辞」を言うが、オレはそれが何よりの「自己像」を刺激し、最高の快感だ。
今度入った妙な女は、こんな「オレ様」の存在に、驚くこともなく、ひれ伏すこともなく、
なんと人と「平等」とさえ思っているようだ。
なんと言うことだ。
まあ、同じ「ヒト」であることは認めてやろう。
しかし、オレを「畏れる」こともなく「ひれ伏す」事もない。なんと言うことだ。
まあ、封建時代じゃないから、百姓上がりでも「ひれ伏す」のは許してやろう。しかしなんと言うことだ。
このバカは、「世辞」の一つも言った試しがない。
このオレ様に、世辞の対象が無いわけが無い。なんてヤローだ。
フザケた女だ。「うらやみ」もせず、かといって「世辞」すら言わない。
この世の中平等だとでも思っているのか。 本当にフザケた奴だ。 ・・・ああ。顔を見るだけで腹が立つ！
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月22日(金) 07:06
[
コメント
: 2]
2008年8月21日(木)
テスト
自閉症及びアスペルガー症候群のテストの中で、「想像力」を測るものとして代表的なのが、サリーとアンの課題だ。
これは、また内容を良く知らないのに、孫引きしたりする例が多いので、聞いたことがある人は多いと思う。
しかし、私や妻の様に、普通学級に通っていた程度の知能があれば、
この課題と、やり方を聞くと「こんなの分からない訳がない」と思うのだが、
きちんと訓練された出題者が、他の課題に紛れて出題すると、引っかかるのである。
あまり、詳しく書くと、現場でテストを受けたとき、或いは受ける人に悪影響を与えるので、詳しく書けないが、
何れにしても、その回答を導き出すとき、「躊躇する」或いは「躊躇した」ことが、
この課題を受けた意味があることなのだ。
このテストを受けて「想像力が無い」とされ、
「だって、あの質問の意味がよくわからないんだもん」と言い訳する人は、
出題者の思うつぼなのだ。
定型発達であれば、「躊躇」も「出題の仕方が悪い」とも言わず、
簡単に課題をクリア出来るのだ。
同じ様なテストに対しても、
「出題の仕方が悪い」と憤慨した人は、逆に自閉症の仲間である可能性が高くなるのだ。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月21日(木) 22:10
[
コメント
: 0]
2008年8月20日(水)
嫉妬
支配の固まりである女と言う種族。
その代表は、浅見淳子つまりクソチンコだな。
頭は悪い癖に、支配する事については長けている。
長けているというより、そればっかり考えてるんだろう。
最もその部分に欠けている自閉症の連中を手玉に取って見事に支配してるよな。
生物連鎖で見ると、頂点に君臨してる。
こりゃ絶対その立場を手放さないし、他をけ落とす事ばかりに画策する毎日だろう。
楽しいんだろうな。 この「快感」と言うのも、定型発達の連中の「快感」は
どうも、私たち自閉症の感じる「快感」の数万倍の感覚のようだな。
だからこそ、その「快感」を阻害するモノに敵対心を抱くんだ。
「支配欲」に満ちている女という種族に対して男はどうか。
男は「嫉妬」というものに満ちているようだ。
女に関しては、私はあくまで観察者としてその行動考えを「予測」してみせたが、
男の行動、考えは、当事者であって女の場合のように「予測」できないんだな。
「嫉妬」の固まりであることも、漠然として捕らえているだけで、その実感も明確じゃない。
自分を含め「男」に関しては、急に歯切れが悪くなるけど、皆さんは、これを手がかりに考えて見て下さい。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月20日(水) 08:00
[
コメント
: 4]
2008年8月19日(火)
西太后
２００７年８月２６日 の所に書いてあるが、マンションの隣の住人が、
ある日、植木の事をあれこれ指図しだし、あげくに人を見て「フン」とそっぽを向くようになった。
馬鹿馬鹿しくて、我が家は相手にしないしか手が無いんだけど、何故こんな事が起きるのかずーっと考えていた。
やはり、定型発達の世界では、コミニュケーションが最も重要なのである。
では、何をしてコミニュケーションと言うか。
主婦が３人集まるとかしましい。
その主婦たちは何をやっているのか。
ある人が、美味しい店を見つけたら、強引に誘い出しみんなで食う。
何か面白いと思うモノがあれば、他の人間の分も買って、むりやり押しつける。
時には金を取ることだってある。これは、普通押し売りって言うヤツだな。
また別の情報を得ると、その情報に従わせる。
つまり、３人の主婦は、かわるがわる「支配する」立場と「支配される」立場が交互、順不同に入れ替わり、
相互が、「支配従属関係」を常時関係しあう。
支配と従属が交互に、不規則に入れ替わる事を見れば、平等な関係であるとも言えるが、
常に、「支配」するときの「快感」が代償にあるから、「従属」にも耐えられるとも言える。
そう考えると、定型発達の連中は、常に、すべての事柄が「支配」か「従属」に置き換えているように見受けられる。
この「支配ごっこ」こそが、定型発達のコミニュケーションと言うモノの本質ではなかろうか。
そう考えると、今までの社会でのいざこざがすっきり分かる。
私は、「支配」の概念が無い代わりに「従属」の概念もない。
だから、組織の中では、微妙になるんだな。
女となれば尚更だ。
女ほど「支配欲」が旺盛な人種は居ない。
あまりに、「支配欲」が強すぎるから、子供にその支配欲は向けられるのだが、
稀に「支配欲」が本当に実現する場合がある。
その一番の例が「西太后」だ。
其処まで行かなくても、あなたの周りにも思い当たる人は居ないか？
誰しも、１人は思い当たるんじゃないかと私は考えるのだ。 オシマイ。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月19日(火) 16:09
[
コメント
: 1]
2008年8月18日(月)
ダークサイド
このところ本当に恵まれていたのは、仕事仲間である。
こちらは、外注であるから、私の手を煩わせると言うことは、そのまま外注費に響いてくる。
これまでは、担当部長が窓口になり誠に上手く事が運んでいたのだが、
最近、組織の再編成があり、その部長は昇進と共に、長野工場に単身赴任になった。
すべての、製造部門を見ることになり、窓口が変わった。
今度は、東京にいる中年の平社員だ。
さほど親しくなく、どんな人間かも分からなかったが、
このところ、納期遅れが頻発しており、私もそのとばっちりを何度も受けた。
問題は、部品の仕上がりがどんどん遅れだしたから何だけど、
今日、その原因がはっきり分かった。
私が土日徹夜で仕上げた図面がなんと２週間も寝かされていたのだ。
この前から、おかしい、おかしいと思っていたんだけど、こんな所で図面が死んでいたとは。
これならば、仕事が流れることはなく、滞る一方だ。
この前の土日出勤もそのせいだ。
私は、単純ミスや、うっかり間違いというよりも、非常にダークなモノを感じる。
確かに居るんだ。必ず１人ぐらいは。
しかし、こういうダークなヤツは本当にやっかいだ。
でも、さほど暗くならないのは、この連休のキチガイじみた睡眠のおかげだ。
なんとかなるだろう。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月18日(月) 09:56
[
コメント
: 0]
2008年8月17日(日)
ぐったり
先週は休み前ということで、急ぎの仕事がやたらと重なり、土日もお客さんの所で働いた。
おかげで、１３日からの休みは疲れて疲れて、寝るしか出来なかった。
連日寝続け、１３．１４．１５．１６．何十時間寝たか分からない。
ようやく、本日１７日で朝起きた。
しかし、いつまた昼寝をするか分からない。
休み中に仕上げなきゃならない仕事もあったのに、仕事どころの騒ぎじゃない。
なんたって、体が動かないんだから。
まあ、納期が遅れたからと言って殺されるわけじゃない。
出来ないモノは出来ない。
諦めて、今日も養生に励もう。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月17日(日) 08:57
[
コメント
: 0]
2008年8月16日(土)
支配
大体自閉症（アスペルガー症候群）がカミングアウトする事には、なんだか分からないが胡散臭い感じがした。
ホモセクシャルがカミングアウトするのとは違う何かを感じていたんだな。
その事は、ずーっと考えていた。
そしてある日分かった。 支配、支配なんだ。
自閉症であることをカミングアウトすると言うことは、
同時に、欠点、つまり、コミニュケーションにおける想像力の欠如を知らせることだ。
これは、単純に知識として持てば良いと言うモノではなく、「想像力の欠如」とはどの様な事か、を詳細に知り、
それを知ることで、適切に対応しなさいよ、という押しつけになるんだな。
つまり、「私はこの状態です。受け取る側で考慮しなさい」という押しつけに他ならない。
これを、「猿山の力関係」で考えると、カミングアウトした者が相手を「支配」する事に他ならないんだ。
「アスペルガー症候群」は集団生活の最重要課題である「猿山の力関係」と最も無縁な障害者だから、
まんまとその「甘言」に乗って、後先考えずに、カミングアウトしてしまう。
これが、会社ならば、上司にカミングアウトしたとすると、上司をその事で支配したことになる。
これは、「定型発達」の社会では、下克上とも言える大変な出来事だ。
特に、「会社」という組織に馴染んでいる、定型発達の中の定型発達であれば尚更だ。
☆「私はアスペルガー症候群と言って、＊＊／／で＋＋です。」
○「話は伺いました。極力考慮しましょう。」
これは、こう考えていると私は「想像」するな。
「話だけは聞いたけど、私はそんな障害認めない。そんなモノ、本当にあるかどうか分からない障害じゃないか。
大体、なんで上司であるオレが、部下であるおまえに気を使わなきゃならないんだ。
人に気を使うのが嫌だから、今まで嫌な思いをして、我慢してやっと昇進したんだ。
今になって、部下のおまえに気を使うわけ無いじゃないか。
こいつ、少しオツムが弱いかもしれないから、注意しなきゃならないな。」
上司の考えは「以心伝心」で、部内に広がり、部内は微妙な雰囲気になる。
「大体なんで、私がこんなおばさんに気を使わなきゃなんないのよ。うちのママなんか私に気を使わせたことなんか一度も無いのに」
「私はいいのよ、私は。でも、部長が可哀相じゃない。あんなに苦労して。」
「足がびっこの人は、それなりに努力するじゃん。なんだか分からない障害者で、努力しなくていいってどーよ」
誰かが考えたカミングアウトが、出来ない「支配」の渦に自閉症を放り込む。
ここは、踏みとどまって、基本に帰り、もう一度自分を見つめ直すしかない。
「私は、想像力が無いから、他人の感情まで想像しない」
「私は、私なりに、正しいと思うこと。誠実に仕事をするしか出来ない」
「私がしたこと、話したことで、誰かが気を悪くする。これは、他人の感情のことだから、そこまで責任は持てない。」
「少なくとも、私に好意を持っていてくれるなら、いつまでも悪感情は続かない」
「私に、悪感情を持っている人の心を支配する事は出来ないし、それを変える必要もない」
「私は、会社で仕事をして、生活の糧を得るために働いている。定型発達の人が、楽しみで会社に来るのとは事情が全く違う。」
定型発達の連中は、支配したり、支配されたりが、集団生活の中の重要なコミニュケーションであり、
そんな集団を形成することが、また、目的でもある。
だから、自ずと会社に対する考えも、目的も、あり方も全く違うのだ。
ひたすら「支配ごっこ」から離れ、とにかく、序列の一番下に居ること。（居ると相手に思わせること。）
これが、私の処世術だ。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月16日(土) 09:47
[
コメント
: 4]
2008年8月15日(金)
切れないスイッチ
自閉症と発達障害研究の進歩 ２００４ Ｖｏｌ．８
〈特集〉コミュニケーション
高木隆郎／Ｐ．ハウリン／Ｅ．フォンボン編 星和書店刊
当事者の声〈�次咫 ＼擇譴覆ぅ好ぅ奪�
「赤い靴を履いて踊り続ける女の子」。夫は私を、アンデルセン童話「赤いくつ」の主人公カーレンになぞらえます。女の子と言うには薹が立ち過ぎていますが、よく言ったもので、私は何かひとつのことに夢中になると、自分で自分のスイッチが切れなくなってしまいます。その夢中になりようは、どうやら世間で言われるところの、趣味の範疇を逸脱しているらしいのですが、そもそも私に趣味などありません。
例えば、２０代の頃、思い立って１３ヶ月で空手の黒帯を取りました。会社帰りに一日も休まず道場に通い、男性に混じり、ボクシングジムの練習にも匹敵すると言われた、ハードな稽古をこなし、試合に入賞し、次々に飛び級し、有段者となりました。
しかしその最中に「あなたの趣味は何ですか」と問われれば、「別に取り立ててありませんが……強いて言えば読書でしょうか」などと答えたことでしょうし、「将来は道場でも開くんですか」と冗談を言われれば困惑し、「まさか」と否定したことでしょう。
では私にとって空手とは何だったのでしょうか？ 私はこれこそが世に言うアスペルガー症候群の「こだわり」の私版だったのだと、ようやく気付きました。
さて同じペースで二段を取った時、さすがの私も苦しくなりましたが、やめようにも自分ではスイッチが切れません。ひたすら修業の毎日でした。途中で母が寝込んだりしましたが、それすらスイッチを切るまでには至りませんでした。ただこれを契機に、実家近くに転職することを決心し、６年間勤めた会社を辞めました。何の未練もありませんでした。
履歴書に女が空手二段と書くことは、時として、お茶やお華よりインパクトがあります。いくつかの会社が興味を持ってくれ、そうやって転職した会社で、私は夫と出会いました。夫は私の馬鹿げた空手修業の話を聞くなり「異常だ！」と言って声をあげて笑いました。そして「きっと自閉症だ！」と言いました。なぜに私が自閉症？もとい、なぜわかった！？
それは、自分は小学５年のとき、ＴＶのドキュメンタリーを見て自閉症だと気が付いた。全国あちこち転校して歩いたが、あのＴＶの男の子以来、こんなに自分とそっくりな人間に出会ったのは初めてだ。よってあなたも自閉症である、という強引な三段論法でした。
私は彼に興味を持ち、その瞬間、バチッとスイッチが切れました。私の空手に対する「こだわり」は、跡形もなく消え去りました。こんなおもしろい男、逃してなるものか、と思ったのです。よく自閉症の人の恋愛は、相手をモノとしてしか見ないと言われますが、もしこれがそうなら、その通りだと認めざるを得ません。タカラモノです。
２７歳で結婚して、再び転職しました。生活のためです。夫は会社員生活に見切りをつけ独立しました。持って生まれた、超高機能三次元コンピューターグラフィックスを生かした機械の設計で、そこそこ顧客がついておりました。一方私はハイヒールを履いて踊り続け、その姿はコマネズミに例えられました。部署をあちこち異動させられました。「あなたの他に適任者がいますか？ ＡさんやＢさん、Ｃさんに任せられますか？ どう考えてもあの人たちの能力では無理でしょう」
私は疲れ果て、１日も早く定年が来ることを祈りましたが、見事祈りが通じてしまい、その日はあまりに突然、何の前触れもなくやって来ました。私が３９歳のときでした。
YOU ARE DOWNSIZED． リストラです。私は不意を突かれて怒り狂いました。
社長を呼び出し、罵詈雑言を浴びせかけました。私のデスクには、上司とのダブル不倫がバレてクビになったはずのＣさんが、ちゃっかり座っておりました。Ａさんたちは「私たちは何も知りませんし、お答えする義務もありません」と冷たく電話を切りました。
夫は憤慨し、せめて「手切れ金」は取るべきだと、方法を詳しく伝授してくれました。私はその通りに行動し、満額を手にしてやっと会社を去りましたが、あの会社に定年まで勤めるという私の「こだわり」は、お金では切れませんでした。スイッチが一時停止のままとなり、その後何年もつらい悪夢に悩まされました。
そうこうしているうちに、私の大切なタカラモノが壊れました。動かなくなり、音が出なくなったのです。何とか直そうとおなかを押すと「オレなんかクズだ、カスだ、カス犬だ」と小さな声で鳴きました。カス犬……この子犬の生まれ育った家庭での、これが呼び名でありました。子犬のおもちゃの内部は時を経て、錆びだらけになっていたのです。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月15日(金) 01:58
[
コメント
: 0]
切れないスイッチ
それから、私がどんな靴を履いて踊っていたのか、未だにわかりません。あっちを突っ掛け、こっちを突っかけ、左右を逆に履き違え、涙で転んで靴が脱げ、裸足で駆け出しては、取りに戻る。そんな感じでしょうか。あまりに濃密な期間であり、問題がパラレル状に同時進行し、かつ絡み合っておりました。破れかぶれで子犬のブリーダーとその周辺、半径数百キロ圏内を爆破し、人間関係を壊滅状態にした後、焼け跡に「アスペルガー症候群」という、光り輝く結晶を見つけ出した、驚きと喜び。（そうだ、有名な児童精神科に持って行って修理してもらおう。ついでにあたしも直してもらおう。十年だって待とう）。
２０００年１２月、よこはま発達クリニックにて、３３年前に自分は自閉症だと気付いた小学５年生は、アスペルガー症候群との診断を受けました。私はうれしさのあまり、道路の真ん中でぴょんぴょん飛び上がってしまいました。その後ごく少量の抗うつ剤を処方された夫は、ほとんど一夜にして、元気になってしまいました。オーバーホールされたのです。アスペルガー症候群そのものは治療できなくても、二次障害は打つ手があったのでした。私はこれで、もういつ死んでもいい、思い残すことはない、とさえ思いました。
それなのに夫は、「オレがアスペルガー症候群だとわかってよかったねぇ」とまるで他人事のよう。夫の言い分はこうです。「何度も言ってるけど、自分は自閉症である。そんなわかりきったことを何故喜ばなくてはいけないのか。自分が抱えている諸問題は、この生物学的な特性に由来しており、現代医学をもってしても回復困難である。ただし、二次障害であるうつ病は、薬でコントロールできることが今回初めてわかった。さらにうつ病の原因として、幼少期に遡る、家庭でのイジメや無理解によるストレスも大きかった。特異的に発達した画像処理能力が幼児期の恐怖を倍加した。しかし気持ちのリセットはできた。これらの作業と適切な医療機関の選定は、自分一人ではできなかったことであり感謝する。主治医の処方を守り、勝手にやめることなど断じてない。薬の助けなしに仕事を続けるのは困難だし、生活を維持できないからだ。メシの支度はよろしく頼む」
ポーズではありません。そもそもポーズなどという言葉とは無縁の男です。
夫の診断から半年後、慎重の上にも慎重を重ねて、私の診断が下りました。アスペルガー症候群にＡＤ／ＨＤが合併。初めて出会ったときの夫の言葉通りでした。発達歴に関しては、客観性重視の厳格なもので、いわゆる私の思い出話の類は一切不要とされ、両親の同席を打診されて迷いました。８０歳過ぎてなお、冴え冴えとした思考を保つ老人ふたりではありますが、「おおイヤだ、そんなおかしなの、うちの家系にはいないはずなんだけどねえ」と顔見合わせるご当人たちが、実は家系一おかしいヒトたち、というタイプであり、事情を一から説明し説得する気力も能力もなく、結局代わりに、長年起居を共にしている夫が、その任に当たりました。夫は「ホラ言ってたじゃない。オチンチンはいくつになったら生えてくるのって、会う人ごとにしつこく聞いて、お母さんを困らせたって」と、アスペルガー症候群全開の人であり、赤面しつつもその点は大いに助かりました。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月15日(金) 01:57
[
コメント
: 0]
切れないスイッチ
しかし困ったことが起こりました。診断を受けてなお、私のスイッチが切れないのです。
何のスイッチかと言えば、私の人生最古のこだわりである「自分が自閉症だという証拠集め」のです。正式な診断名がついたというのに、さらに証拠が必要とは？
実を申しますと、夫に指摘されるまでもなく、私も子どもの頃から、自分が自閉症であるという信念を抱き続けておりました。しかしながら、その根拠は、夫のように明快なものではありません。夫はビデオのない時代、ＴＶの男の子の一挙手、一投足を、自分の頭の中で繰り返し繰り返し見て、自分が自閉症だと確信しました。そこまで明快なら、誰が何と言おうと「自分は自閉症」なのです。それに引き替え、私はと言えば、「まあおとなしくてお人形さんみたい」と会う人ごとに異口同音に言われたことや、保育の専門家である保母の「それにしても少しおとなしすぎて心配です」といったほのめかしに、女の子は手が掛からなくて楽だと思い込んでいた母が、仰天したという話、そういった状況証拠のみです。
ですから私の「こだわり」は、いつしか「自閉症ではない証拠集め」のほうに移行していきました。そのほうが、手っ取り早く効率的だったのです。なにしろカナー型と比べれば一目瞭然、私が自閉症ではないとわかります。ところが、そうやっていくらカナー型の情報を、集めても集めても、スイッチは切れてくれませんでした。
そんな折りも折り、「２歳まで歩かず、言葉もなかった。４歳の頃は、目覚まし時計を分解し、取り出した小さな歯車を、日がな一日くるくる回すのがお気に入りの遊びだった」などというカナー型もどきの夫が登場し、試しに手持ちカードを交換してみると、その 〃どれをとっても同じじゃないが、何から何までそっくり同じ〃 加減に圧倒されました。その後の不本意なリストラ、続く夫のうつ病発症でぐらぐらに揺さぶられ、ついに自閉症研究の長足の進歩がもたらした「アスペルガー症候群」の存在を知り、もはや私が自閉症だという証拠は出揃ったと、満を持して診断を受けたのに、スイッチが切れない。
……結局のところ、私は年を取りすぎたのです。わずか２０年とはいえ、社会の荒波にゴシゴシ揉まれ、様々な人たちを見て参りました。その中には「なぜこの人に病名が付かないのか」と思うほどエキセントリックな人、怒りっぽくヒステリックな人、嘘つきなのになぜか大人気の人、はたまた無口でおとなしく、いつもビクビクと人の言うなりで「自閉症じゃなかろうか」と思えば、根回しよろしく、要求は難なく呑ませてしまうちゃっかり屋、といった人々がいて、それらの人々にしても、前出のＡＢＣさんたちにしても、私や夫と決定的に違うのは……人によって巾はありますが、いずれの人たちも「頭を切り換え」て「ほどほどのところで」「あきらめて譲る」「柔軟性」を持っていたことです。どれほど破天荒に見えても、収拾を考えています。押さえるべきところは、寸止めで押さえています。だからこそ、会社という集団で、生き残ってこられたのだと、今思います。
いつか私のような人に会ってみたいという未練はあります。それでスイッチが切れないのでしょう。しかし、社会での苦行の年月は、私を極度に用心深くしてしまいました。例えば、アスペルガー症候群の大人たちで組織される、自助グループといった中に、アスペルガー版のＡＢＣさんたちが、いたとしたらどうでしょう。そうなれば私は「どこに行っても同じだ」とばかり、診断名をかなぐり捨ててしまいたくなるかもしれません。しかしそんなことできないのは自分が一番よく知っています。その時のすさまじい葛藤。「私には到底無理だ」、これが限りある私の想像力が出した結論です。
アスペルガー症候群の診断名は、私の障害の証であり、自分のルーツを知る唯一の手掛かり、アイデンティティー、さらには夫との生活の質を保つための大切な道具です。アクセサリーではありません。夫はこう言いました、「つまり銀の食器って訳だね」。
私はこの無二の親友を大切に、ほんの少々の抗不安剤で赤い靴の暴走を止めながら、高望みをせず、ひっそりと生きていこうと思っております。 （山岸美代子）
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月15日(金) 01:55
[
コメント
: 2]
2008年8月14日(木)
途上
「想像力」の無い、アスペルガー症候群の私が、「想像力」について想像するのは、非常に難しく
まだまだ、考える途上であり、言葉にするのは難しい。
しかし、今私が言えるのは、
「想像力」という言葉には、「創造力」「物事の予測」という意味が含まれていて、
心理学上の「想像力」には、「創造力」「物事の予測」は含まれていない事。
ヒトが社会生活をしていく上で、「創造力」「物事の予測」の能力があれば、
かなりカバー出来ること。である。
この辺は、後にはその解釈が変わっているかもしれないが、今言えるのはこれぐらいだなぁ。
明日は、写真にある本に寄稿した全文を、終戦記念日記念、或いはお盆記念として、全文書きます。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月14日(木) 11:20
[
コメント
: 0]
2008年8月13日(水)
こうそ
今思い返せば、会社では恐怖の毎日だった。
何故かと言えば、「ここにあったボールペン知らない？」この一言に、
失敗が歩いていると思いこんでいる私は、また大変な事をしたかと勝手に思いこみ、
思わず「知らない」と言ってしまう。
そんな事、すぐ分かるのに、思わず言ってしまうのだ。
そんな悪事とは言えないほどの小さな悪事がやがて誰かに分かり、
「なんで、あんなこと言うんだべ」と誰かがぼやく様子が思わず耳に入ると、
また、その事で恐怖を感じる。
何か見えない恐怖のために、吐いた小さな「小嘘」の為に、また恐怖を感じる。
そんな事を繰り返していたら、ようやく「誠実」の意味が分かるようになってきた。
納期の遅れも、小さな間違いも、はっきり相手に伝えることが、自分の為なんだ。
その先の、相手の感情は、相手次第。
自分が、楽でいられるためには、小さなことから正直に生きる事だ。
こんな事を言っていても、きれい事だけじゃない。
自分が納めた仕事で、メンテナンス（修理）をするのが私の責任だ。
しかし、ちょっとした事があって、どうしてもやりたくない。
これは、私の「感情」の事だ。
ずいぶん昔、同じ様な事があって、自分の気持ちに逆らって仕事をしていたら、
強烈な鬱になり、結局会社に行けなくなって、会社を辞めてしまった。
その時を思い出して、「嫌なモノはいやだ」
今回は居留守まで使って亀になってやり過ごした。
自分の気持ちが見えたよ。これって「ＳＡＭ」じゃん。
あくまで天然じゃなく、理論的に、後から作り出したＳＡＭだけどね。
不完全ながら「ＳＡＭ」が働いたんだよ。２２ヶ月で獲得する定型発達に遅れて、４９年。
４９年と２２ヶ月で「ＳＡＭ」もどきを見つけたぜ。 ヤッター！
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月13日(水) 03:18
[
コメント
: 1]
2008年8月12日(火)
予測の精度
社会に出て、いや子供の頃から社会的な関わりの中で、対人関係は何度も何度も失敗してきた。
しかし、失敗を重ねていくことで、ある程度は予測できるようになる。
勿論、これは人それぞれだから、「想像力」が無いと言われる自閉症の特徴が身にしみて、
極力、人と関わらない職業に就く人も居るだろう。
しかし、人間どこに行っても、人間との接触がない職場など無い。
なにがしらの接触は付き物だし、例えば飲み会に必ず出かけるという人が居ても良いし、
飲み会、遊びには一切関わらないと言う人が居ても良い。
人生経験を積み、失敗の数が多ければ多いほど、自分がどうすればいいか予測が付きやすくなる。
生きて行くには苦しみがある。
しかし、苦しみのために生きる必要はない。
依り良い人生を得るには、理解者が必要かもしれない。
しかし、理解者を得るには、それなりの多くの人と接触しなければ、巡り会うことが出来ないだろう。
トライが無ければ、得るモノは無いだろうし、トライが無ければ予測能力も身に付かないかな？
こりゃ、積極奇異群の独りよがりかな。
作成者
Ｃｈｉｐ
: 2008年8月12日(火) 20:11
[
コメント
: 11]