桜井淳所長の最近の講演内容-核的技術基準の物理的根拠-
テーマ:ブログ桜井淳所長に拠れば、原子力研究施設(研究炉・試験炉・臨界集合体・新燃料貯蔵庫・使用済み燃料貯蔵庫・核破砕ターゲット・核変換炉等)や核燃料サイクル施設(濃縮ウラン貯蔵容器・六フッ化ウラン輸送容器・燃料加工施設・新燃料輸送容器・新燃料貯蔵庫・軽水炉炉心・使用済み燃料貯蔵プール・使用済み燃料輸送容器・使用済み燃料中間貯蔵施設・核燃料再処理施設・プルトニウム加工施設等)の核的安全性の安全審査では、「十分な未臨界性が維持できること」としか記されておらず、申請者側は、米国の技術基準を根拠に、具体的には、実効中性子増倍率(effective neutron multiplication factor)keff=0.98や0.95、大部分の施設では、keff=0.95が採用されていますが、核的には、最も厳しくなる水没条件等、十分、保守的条件が考慮されているため、確実な安全が確保できているものの、大学や研究機関で炉物理の研究をしている研究者でさえ、米国の技術基準の根拠さえ知らず(文献調査しても根拠は、分からず、日本の「臨界ハンドブック」(JAERI 1340(1999))や米原子力学会の技術基準(ANSI/ANS57.2(1983))等においては、そのため、文献を引用していない)、はたして、物理的根拠があるのか、エンジニアリング・ジャッジ(engineering judge)かさえ把握できていないにもかかわらず、確立された既知のこととして、この問題が研究対象に採り挙げられることもなく、現在に至っていますが、桜井所長は、この問題を曖昧にせず、核的安全評価の方法の再検討((1)臨界安全解析法からの未臨界安全評価の妥当性、(2)各種実験手法による未臨界ベンチマーク実験問題の安全解析からの未臨界安全評価の可能性、(3)米原子力学会技術基準の妥当性、(4)ボルツマン方程式の臨界固有値(keff)と深い未臨界状態での固有値の算出時の中性子スペクトルの差異と炉物理的厳密性の成立性、(5)keff=0.98の評価根拠と0.98以下の妥当性、(6)keff=0.95は、0.98以下であり、問題ないものの、核的には、0.95は、臨界固有値1.0と深い未臨界状態0.90の中間点ではなく、なぜ、0.97でも0.94でもなく、0.95なのか、その物理的根拠や評価根拠を明確にしておく、(7)「臨界安全評価のための不確定性解析に関するNEA専門家グループの活動紹介」によれば、グループの将来的検討方針として、administive limitのkeff=0.95を基準にし、計算バイアス(2σ)分だけ低くしたkadj.、さらに、実験バイアス分だけ小さくしたkmodelの設定を考慮しているが、その妥当性、等)しています(日本原子力学会研究専門委員会主査として、また、個人として)。