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【放送芸能】『自殺助長』×『励ましだ』 森山直太朗の新曲歌詞に賛否2008年8月24日 朝刊 シンガー・ソングライター森山直太朗の新曲「生きてることが辛いなら」(27日発売)の歌詞に賛否が巻き起こっていることを受け、大手コンビニエンスストアチェーンの1社が店内BGMでの使用を見送った。歌詞の一部が自殺助長につながるといった意見があるためだが、専門家からは「過剰反応」という声が出ている。 (近藤晶) 「曲の一部だけでなく全体を聴いてほしい」。東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた「20th J−wave LIVE2000+8」。ライブ最終日十七日の一番手で出演した森山は、曲を披露する前、賛否論争に触れてこう訴えた。演奏中は、森山本人の意向でステージ横の大型スクリーンに歌詞が映し出された。 「生きてることが辛いなら、いっそ小さく死ねばいい」。こんな歌い出しで始まる曲は、森山の十六枚目のシングル。作詞は、森山のほとんどの楽曲に参画している御徒町凧(かいと)さんが手掛けた。 所属のユニバーサルミュージックによると、御徒町さんが十年ほど前に友人に贈った詩で、森山が御徒町さんの引っ越しを手伝った際に見つけて曲を付けた。森山が「自分なりに生きることに真摯(しんし)に向き合って作った曲」だという。 発売前の六月八日、NHK総合で放送された特番「SAVE THE FUTURE エコうた」で初披露。その後、インターネットのブログや掲示板にさまざまな意見が書き込まれた。自殺を助長すると批判的な意見がある一方、励ましととらえる肯定的な意見のほか、問題視することに疑問を投げかける意見もある。 Yahoo!は「この歌詞に問題はあると思う?」と意識調査(7月25日−8月4日)を実施。合計約十万件の投票があり、結果は「まったく問題ない」46%、「ほとんど問題ない」21%、「少し問題がある」17%、「とても問題がある」18%だった。 テレビやラジオなどでは問題なく放送されているが、論争の広がりに大手コンビニの一社が、店内で流すBGMとしての使用を見送った。理由は「ネットで物議を醸していることもあり、顧客の店内滞在時間が短いことや曲の一部だけを放送する可能性があるため誤解を与える恐れがある」。 全国で四万店以上あるコンビニは、音楽業界にとって重要なプロモーション手段だが、放送自粛にユニバーサル側は「やむを得ない」と冷静な受け止め。二十日から先行配信している「着うたフル」では歌詞カード付きで配信するなど、「歌詞すべてを聴いてもらい、メッセージを伝えたいという思いがある」としている。 音楽評論家の富沢一誠さんは「聴く側の状況で一部分だけ聴くこともあるのは、ラジオや有線放送でも同じ。自粛は過剰反応」と指摘。賛否論争に関しては「最近は歌の内容自体が議論の対象になることが少ない。それだけこの歌にメッセージがあるということで、健全なことだと思う」と話している。
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