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グルジア問題の背景(下)
示された「ネオ制限主権論」
FujiSankei Business i. 2008/8/20
ロシアとグルジアの紛争は長期化。国際問題化しつつあるが、北京五輪では両国の選手が平和を願って抱き合った=13日、ロシア(手前)とグルジアのビーチバレー選手(ロイター)
いまから40年前の1968年8月20日深夜、ソ連軍を中心とするワルシャワ条約5カ国(ソ連、ポーランド、東独・ハンガリー・ブルガリア)の軍隊がチェコスロバキアに侵攻し、全土を占領した。当時、チェコスロバキアでは、「プラハの春」という民主化運動が展開されていた。それをたたきつぶすためにソ連は軍事侵攻を行ったのである。
56年10〜11月にソ連はハンガリーにも軍事侵攻を行った。当時のナジ・イムレ政権は、社会主義体制からの離脱を考えていたので、ソ連軍の武力進攻は、想定される事態であった。これに対して、アレクサンドル・ドゥプチェク政権が推進した「プラハの春」はあくまでも社会主義体制内での改革を志向する運動だったので、ソ連の介入はありえないと当時のチェコスロバキア指導部は情勢分析を誤った。
ちなみに、「プラハの春」の理論的指導者の一人であったズデネク・ムリナーシュ(事件後、オーストリアに亡命)はモスクワ国立大学に留学したことがある。モスクワ大学の寮で隣室だったのが、後にソ連共産党書記長になるミハイル・ゴルバチョフだった。ゴルバチョフとムリナーシュは親友となり、関係は大学卒業後も続いた。67年の初夏にムリナーシュが、当時スタブロポリ共産党第一書記を務めていたゴルバチョフ夫妻を訪ねてきた。
〈ズデネクはソ連や、(スタブロポリ)道(地方)の状態について、私たちの生活についていろいろと尋ねた。そしてチェコスロバキアで起こっているプロセスについて、ノヴォトニー(共産党第一書記)の権威の失墜についていろいろと語ってくれた。私はチェコスロヴァキアでは大きな事件が目前に迫っていることを感じた。後年、ズデネクは当時のソ連共産党リーダーたちに対する私の批判的発言について書いた。私はそれを肯定することも、否定することもできない。遠い昔のことなので思いだせないだけだ。だが、ズデネクがそう言っているのだから、おそらくそれはあったのだろう。私たちの間のことでは、彼は一度もうそを言ったことがない〉(『ゴルバチョフ回想録 上巻』新潮社、96年、154〜155ページ)。
ゴルバチョフが推進したペレストロイカ(立て直し)は、「プラハの春」の民主化に近い。民主化は共産党体制を崩壊させるという認識を抱いた68年のソ連指導部の認識は正しかったのである。
さて、国家主権の不可侵は、国際関係の基本原則だ。チェコスロバキアへの軍事侵攻に際して、ソ連は「社会主義共同体の利益に反する場合、個別国家の主権が制限されることがある」という「ブレジネフドクトリン(制限主権論)」を唱えた。今回のロシア軍によるグルジア侵攻にあたって、「ネオ・ブレジネフドクトリン」とでもいうべき制限主権論がロシアで頭をもたげている。8月8日、クレムリンで開かれた臨時安全保障会議においてメドベージェフ大統領は、次の発言をした。あえて直訳する。
〈われわれの国は、コーカサスにおける同胞の死に対して懲罰が行われないままになることを看過しない〉
グルジアで紛争が起きているにもかかわらず、メドベージェフはコーカサス(ロシア語でカフカス)という表現を用いている。これは、チェチェン、ダゲスタンなどロシアの領域内の北コーカサスとロシア国外のグルジア、アゼルバイジャン、アルメニアのトランスコーカサスをあわせて指す概念だ。メドベージェフの見解は、「ロシア帝国の利益に反する場合、個別国家の主権が制限されることがある」ということを意味している。率直に言って、プーチン前大統領(現首相)よりもメドベージェフの方が帝国主義的だ。
民族排外主義的なグルジアのサーカシビリ政権は、8月8日に北京オリンピックが始まるので、この時期ならばロシアが本格的軍事介入を行うことはないだろうと見通しを誤って、南オセチア自治州への実効支配を軍事力で回復しようと試みた。その結果、引き出されたのがメドベージェフの「ネオ・ブレジネフドクトリン」だ。ロシアは「アメリカやヨーロッパ諸国がグルジア問題に干渉したいならば、来てみろ。グルジアで『血のオリンピック』で勝負しようじゃないか」と開き直っている。国際社会は団結して「血のオリンピック」がグルジアで起きることを阻止しなくてはならない。
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同志社大学大学院神学研究科修了。外務省入省。ソ連崩壊を挟む1988年から95年まで在モスクワ日本大使館勤務の後、本省国際情報局分析第一課へ。主任分析官として活躍したが、2002年5月、背任などで逮捕。05年2月に執行猶予付き有罪判決を受けて控訴中。著書に「国家の自縛」(産経新聞社)など。46歳。東京都出身。
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