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元恋人からの仕返し急増、背景に少子化(下)

昔「破局で涙」、今「破局で血」? 今どきの恋愛は「別れたら仕返し」

 親の過保護も問題だ。『心理学が恋愛を語る』の著者イ・チョルウさんは、日本で社会現象になっている「モンスター・ペアレント」が韓国社会にも登場しつつあると警戒する。「モンスター・ペアレント」とは、子供を過保護に育て、教師に対しとんでもない要求を突きつける常識を逸脱した親のことを指す。イ・チョルウさんは「こうした親の下で育った子供たちは、自分の思い通りに事が進まなければ急変して暴力的になる。恋愛でも同じ」と話す。恋愛専門コラムニストのソン・チャンミンさんも「ほしいものを簡単に手に入れるのに慣れた若い世代にとって、“何かを失うこと”は大きな試練だ。手に入れられないものに対する欲望は、最終的に暴力につながる」と説明している。

イラスト=イ・チョルウォン記者

◆温和な男のほうが危険  

 普段おとなしくて温和な恋人が、別れた後に急変して当惑するケースは多い。精神科専門医のキム・ビョンフ博士は「心理テストをすると、一般的に“男らしさ”が強くない人のほうが、自分の男らしさが傷つけられたり、女性に侮辱されたりした場合、衝動を抑えられなくなる」と話す。キム博士は「こうした男性たちは、別れを告げられると、自身の貧弱な“男らしさ”に対する冒涜(ぼうとく)だと受け取るので、ひどい暴力を行使することで怒りを爆発させる」ともいう。

 温和なタイプの人を歓迎する教育や社会構造が、常軌を逸した仕返しという現象を生むとの声もある。イ・チョルウさんは「他人の頼みを断れず、感情を表現するのが下手な“非自己表出的人間タイプ”は、一度怒りが爆発するとなすすべがない。最近は、遂行評価(児童・生徒の自主的な知識・技能表現を評価する方法)のため、小さいころからケンカ一つしない。こうした制度は結局、非自己表出的な人間を量産する」と懸念している。

◆怒りの表現方法を子供のころから教えるべき 

 破局時の暴力を防ぐには、小さいころから怒りを管理するための教育が必要だ。イ・チョルウさんは「イギリスや日本では、保護者らが連帯し、“あいさつをして、会話をつないでいく方法”や“自分の怒りを表現する方法”を教育する。子供のころからこうした教育が必要」と強調した。また、暴力に対する社会的な法規も整備すべきだ。キム・ビョンフ博士は「生活水準が向上する一方、幸せに対する基準も高まっているため、暴力に対する法的定義もきちんとすべき」と指摘した。

 怒りをうまく抑えられないというなら、恋愛にすべてを賭けるのは危険だ。パク・チンセン院長は「貿易も多角化してリスクを避けるように、人間関係も多角化しなければならない。恋人と別れても、ほかの人間関係を通じ、ショックを和らげることができるのだから」とアドバイスした。

キム・ミリ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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