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久留米井筒屋:来年2月閉店 商都に驚きと不安、中心地活性化に影響 /福岡

 久留米市六ツ門町の老舗百貨店「久留米井筒屋」閉店のニュースが12日、商都・久留米の街を駆けめぐった。「撤退ではない。新たな展開を模索する」と井筒屋は強調するが、その具体策は示されず、地元には不安や驚きの声が相次いだ。創業から72年、市中心部の核店舗として愛されてきた同店。郊外店の進出などで客足は遠のき、商店街の疲弊も進んでいる。中心地の商店街の活性化やまちづくりへの影響が心配される。【井上秀人、平野美紀、丸山宗一郎】

 ■複合商業施設も

 同市城南町の久留米商工会館で会見した中村眞人・井筒屋会長は閉店理由を「業績の低迷に加え、店舗建物の維持・管理コストのさらなる増加が見込まれるため」と説明した。創業から72年が経過したビルは焦土と化した久留米空襲でも残ったが、「リニューアル程度ではすまないほど」(中村会長)老朽化が著しくなっているという。

 その上で閉店後の跡地利用について、中村会長は「今後検討する」と明言を避けつつも「大型駐車場を備えた複合商業施設が望ましい」とし、六ツ門地区の振興に貢献したい意向を語った。それでも、実現の可能性は「地元の機運の盛り上がりが必要」と語り、ハードルが高いことを示した。

 また、久留米店の従業員約130人は、グループ内で雇用を継続するという。

 ■バックアップを

 市の中心部・六ツ門地区では05年11月にダイエー六ツ門店が撤退し、跡地ビルの買い手はいまだ決まらないままだ。今年7月現在の中心部10商店街の空き店舗率は26%と増えている。

 打開策の一つとして、市は今年3月、中心市街地の空洞化の解消を国が支援する「久留米市中心市街地活性化基本計画」の認定を受けた。中心部への集客や居住率アップを狙ったさまざまな事業が、本格化する段階だった。江藤守国市長は会見で「いつかこういう時期が来ると想定していた。ショックは受けていない」と語った。井筒屋が六ツ門地区の核施設であることを強調し「閉店は六ツ門地区の再生へ向けた一つのステップと位置づけている。新しい拠点作りのため、行政も地元経済界もバックアップする」と力を込めた。

 一方、久留米商工会議所の本村康人会頭は「活性化への新たな切り口と認識し、市や商店街と連携しながら対応したい」とコメントを発表した。

 ■店の継続を

 井筒屋前の六ツ門商店街振興組合の黒川幸治理事長(60)は「ぜひ続けてほしい」と訴える。「井筒屋がなくなることは考えられない。なくなれば町は大きく変わってしまう。地元としては新たに活性化が進むよう協力し、頑張っていきたい」と話した。洋傘店経営の黒岩和則さん(66)は「ダイエーが撤退し、シャッターの閉まった店が増え、うちは売り上げが3割減った。井筒屋の集客力がなくなれば、さらに半減するかもしれない」と不安を募らせる。

 買い物客も寂しげな表情を浮かべた。近くで働く同市の保険外交員、荒巻アサエさん(77)は「仕事帰りによく立ち寄り、夕飯の食材を買っている。残してもらわないと不便になる」。小郡市三沢のパート、田中陽子さん(34)は「15年前は商店街には人があふれ活気があった。ダイエーに続き井筒屋も閉店すると、久留米のイメージが変わってしまう。寂しい」と残念がった。

〔筑後版〕

毎日新聞 2008年8月13日 地方版

 
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