最速男ボルトを「欽ちゃん走り」と伝えたＮＨＫアナの評判

「人類最速の欽ちゃん走りだ！」――。

　北京五輪中継のこの“名ゼリフ”が注目を集めている。陸上・男子１００メートルでボルト（ジャマイカ）が、横を向いて走りながら９秒６９の世界新記録で優勝したときに飛び出した。

　伝えたのはＮＨＫ・刈屋富士雄（４８）。実は刈屋は過去７回の五輪で実況を担当し、数多くの名ゼリフを生んできた“名物アナ”。０４年アテネ五輪では、体操男子団体の冨田洋之が鉄棒で着地する際、「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への懸け橋だ！」と実況して話題になった。

　刈屋は静岡県立御殿場南高から早稲田大学社会科学部を経て８３年に入局。福井、千葉、東京、京都、東京、福岡と異動し、今春からは出向扱いで情報ネットワークに所属している。印象に残る実況の数々から、刈屋を“ミスター・オリンピック”と呼ぶ声もあるという。

　もっとも、今回は北京に行っていない。

「刈屋は東京のスタジオから競技の結果を伝えています。視聴者の方々から“名ゼリフ”といわれるような実況ができるのは、数多くの五輪やスポーツ実況の経験があってのものです。今回の北京は刈屋に続くアナウンサーの育成や経験を積ませるために、若手を中心に１５人の実況アナを派遣しています」（ＮＨＫ経営広報）

　刈屋は五輪以外では大相撲や競馬などの中継も担当。三つ子のパパでもある。次回のロンドン五輪も楽しみだ。

（日刊ゲンダイ2008年8月20日掲載）