平和資料館入口に展示してある年表表記から、「戦時中の『慰安婦』問題などの日本の戦争責任論多発」と、「従軍」を削除した件について、埼玉県平和記念館の「運営協議会」が開かれ、再審議提案がなされたが、否決された。
審議する「運営協議会」
埼玉県平和記念館の「運営協議会」(第三者による公的機関)が8月19日、東松山市立高坂図書館で20名余りの傍聴者の中で、委員12人(定員14名)が出席して開かれた。
報告事項や展示見直しの審議などの後、継続議題であった平和資料館入口に展示してある年表の「従軍慰安婦問題などの日本の戦争責任論多発」の表記を、「戦時中の『慰安婦』問題などの日本の戦争責任論多発」と「従軍」を削除した件について、新崎博昭委員からの「再審議提案」が行われた。
審議結果は反対2名、賛成1名(提案者)、発言なし9名で、森田武会長(埼玉大学名誉教授)は館の決定を踏襲するとの見解を示し閉会した。
「平和資料館」側
館長は新崎委員から出された過去の「政府見解」等と共に、新たに提出された、和田春樹東大名誉教授、吉見義明中央大教授の「意見書」に対し、何ら見解を示さない状態で前回と同じ結論を示した。
館は展示については「館の独自の判断で行っている」、と再三述べているが、館の『従軍』文字削除の提案は07年7月23日である。上田知事の「慰安婦はいたが従軍慰安婦はいなかった、平和資料館の展示について見直しが必要」(06年「県議会発言」)や、「慰安婦はいた。慰安所もあった。しかし、軍が徴用した従軍慰安婦がいたという証拠はないのです。証拠もないのに安易に『従軍』慰安婦という言葉を使うことは慎むべきなのではないかということを、私は訴えたいのです」(06年7月「知事見解」)の発言を館が忖度し(館は否定)削除したものである。
知事発言を基とした今回の館長と運営協議会会長の決定は日本軍慰安婦(従軍慰安婦)の軍による強制の事実を隠蔽するもので、平和資料館のあるべき姿を否定したものである。「削除提案」当時の運営協議会では「削除賛成」は一人もおらず、副会長の女性は「女性の立場から遺して欲しい」と発言していた。
「傍聴する市民」
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