上高地(松本市安曇)の梓川を流れる水は、人と動物の「ふん便性大腸菌群」の数が年間を通じて少ないことが3日、県松本保健所と松本地方事務所が昨年度の夏季(6月-11月)、冬季(1月-3月)に月1回ずつ実施した水質調査の結果分かった。同保健所は、山小屋のし尿処理が適切に行われていることや登山者のマナーが高いことを理由に挙げ、「梓川は1年を通してきれいな水」としている。
同保健所などは1997年度から2003年度まで、同大腸菌群の調査を9月に1回だけ実施してきたが、登山者の増減と水質との関係を調べるため、昨年度初めて夏季、冬季の月1回調査にした。新村橋付近と河童橋付近、大正池の3カ所から採水し、100ミリリットル中に含まれる同大腸菌群の数を調べた。
河童橋付近では、登山者、観光客が多い8月の同大腸菌群数が9個と多かったが、夏季のそのほかの月は2個以下で、平均値は2・0個だった。大正池でも8月は8個と多く、9、10月はともに6個。平均値は3・7個だった。新村橋付近では、夏季の平均値は0・2個で、3カ所中最も少なかった。
一方、登山者らが少ない冬季は、3カ所とも同大腸菌群は検出されなかった。
国が定める水浴場(海や湖沼、河川)の水質判定基準でみると、夏季の平均値2個以下の新村橋付近と河童橋付近は、最もきれいな「AA」(2個以下)。大正池は、「A」(100個以下)だった。
この日、調査結果を報告した北アルプス山小屋関係者らのし尿処理対策研究会では、「飲料水として利用できるのか」との質問が出たが、同保健所の担当者は「菌数がゼロにならないと飲めないので、煮沸が必要」とした。調査は本年度も通年で行う予定。
【写真説明】年間を通じて「水質がきれい」との報告がまとまった上高地の梓川=今年4月